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□第四話「棘まで美し」
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※4話のその1は敦君の目線から見たものになります。


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「…ここは…?」




目覚めたら白い天井。

自分はベットで寝ていた。



「気づいたか小僧、全くこの忙しい時に…」



体を起こすと国木田さんが居た。






ん…?




…何か忘れてるような。






「僕、マフィアに襲われてそれから…










そうだッ!谷崎さんとナオミさんは、島崎さんは!?」






ナオミさんと谷崎さんは覚えてる限り重症だったはず。







島崎さんは芥川に捕まって…






「谷崎の所は隣で与謝野先生が治療中。
熱があった島崎は自宅で休養中。」






「島崎さん、大丈夫でしょうか…
あの時大分頭が痛そうでしたし…。」



「島崎なら与謝野先生に見てもらってある、それに…。」





「それに?」






「今頃太宰が看病してるだろう」




…聞き間違えた?


国木田さん、今太宰さんって言った?




「え?…だ、太宰さんが?」





「島崎も太宰が看病するならしっかり休養するだろう。」






島崎さんと太宰さん。




基本的に、太宰さんが島崎さんの邪魔をしている様な
光景しか見た事が無い。




2人はどんな関係なんだろう。




恋人?婚約者?もう結婚してたり?

いやいや、二人共苗字が違うから結婚はしていない。





でも、島崎さんが一番喋っているのは太宰さん。



比べてよく表情が顔に出るのも、太宰さん。





…というか二人共謎すぎる。







うーん、と頭を捻っているとギャアアアアアアアアと

叫び声が何処からともなく聞こえた。



谷崎さんの声だった様な。



いや、でも今確か…



「ち、治療中…?」





僕の中の治療のイメージとだいぶかけ離れている気がする。



気のせいだろうか。




「聞いたぞ小僧。七十億の懸賞首だと?
出世したな、マフィアが血眼になる訳だ」




「どどどどうしようマフィアが探偵社に押し寄せてくるかも」



マフィアが探偵社を潰しに来たら、
僕のせいで皆さんが危なくなってしまう。




「狼狽えるな、確かにマフィアの暴力は苛烈を極める」




「だが、動揺するな。動揺は達人をも殺す。
…師匠の教えだ。」


国木田さんはシャンとした姿勢で
己の理想が書かれた手帳を読んでいる。




「あの…手帳逆さまですよ」



「…」


は?、とでも言いたげな顔でこちらを見てくる国木田さん。


手帳を戻してからまたこちらを見てきた。

「俺は動揺などしていない!
マフィア如きで取り乱すか!
仮令、今ここが襲撃されようと俺が倒す!」



「アレをこうしてこうバシッと動きいい感じにグッとやって倒す!」


国木田さんは相当焦ってるのか説明がワヤワヤだ。


それだけ探偵社の危機って事だ。

…僕の所為で。


「ふん、奴らは直ぐに来るぞ」


「お前が招き入れた事態だ。
…自分に出来る事を考えておけ」


僕にできること。

そんな事あるのだろうか。



「ところで小僧」


国木田さんが振り返る。






「先程から探しているんだが眼鏡を知らんか?」
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