少女よ、大志を抱け

□No.005
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山「あ!愛美さん待って!」



『なんだよザキ』








朝ごはんを食べ終え、自室に帰る途中で
ザキに呼び止められた。








山「愛美さん宛に手紙が来てました」



『あたしに?』








ザキから手渡された封筒には"愛美様へ"
と書かれていて紛れもなくあたしに宛てたもの。



しかし差出人の名前が書いていない。



あたしに手紙なんか寄越すような人いたっけ。

心当たりがあるのは家族だけど
家族ならちゃんと差出人のところに
名前と住所書くだろうし。





不思議に思いながら自室へ戻り
その封筒を開けてみた。








『......なんだこれ』








入っていたのは20枚ほどの写真と1枚の手紙。



まずは紙一面びっしり文字で埋め尽くされた
手紙に目を通した。








"愛しの松平愛美様へ
僕はいつもあなたのことを見守っています。
同封したものは僕のコレクションの一部。
どれも綺麗に撮れているだろう?

あなたはいつも夜空の星のように輝いていて
とてもとても美しい。
僕のオアシスのような存在だ。

(省略)

それにしてもどうしてあなたは真選組という
野蛮な男共の巣にいるんだ?

綺麗で可憐なあなたと奴らとでは
住む世界が全く違うというのに。

きっと奴らに騙されて、あるいは脅されて
そんなところにいるんだよね?

あなたを僕の手で救い出してあげたい。

次の満月の夜にあなたを迎えに参ります。"



長すぎて少し省略したが、そう書かれている。





コレクションの一部とやらの写真を見ると
すべてあたしが写っていた。

見廻りで町を歩いているところや
団子屋で休憩しているところや
浪士達を粛清しているところなど。



しかし、どれも目線が合っていなかったり
遠くから撮られていたりすることから
盗撮したものだと気づいた。









『...誰だこんなイタズラする奴』








パッと頭に浮かんだのはもちろん総悟。



あのドS野郎...

土方さんの暗殺計画だけじゃ飽き足らず
あたしにまで嫌がらせするつもりか。



いっぺんビシッとしばいたる。





そう思ってあたしは総悟の部屋に向かった。








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