確かにそれは恋だった

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「なぁ! 生徒会に入ったって本当なのか!?」

入学して一週間。雪村千鶴という友人を確保し少しずつ学校生活にも慣れてきた。

目の前にいる藤堂も千鶴の幼馴染みということでたまに会ったらよく話しかけてくる。

「ええ。本当ですよ」

生徒会に入ることは入学する必須条件だった。

風間と一緒にいるのはたいへん疲れるが仕方がない。

「生徒会って、あの風間がいる生徒会だよな? ……なんでだ?」

「酷い言われようですね。……まぁ察しますけど」

藤堂の反応で生徒会がどう思われているのか一目瞭然だ。

「入るって約束をしたんですよ」

「風間に?」

咲良はニッコリ笑ったまま何も答えない。

諦めたのは藤堂の方だった。

「頑張れよ」

「はい」

これから部活なのだろう。藤堂は急いで武道場に向かっていった。

今は部活動体験週間だ。上級生が部員を入れようと外で勧誘している。

「……部活なぁ」

憧れはある。しかし入ろうとは想わなかった。

「如月」

後ろから声がした。振り返ると、そこには土方がいる。

「どうしました? 入部届けはちゃんと出しましたよね?」

生徒会といえども特別部活動という項目に入るので入部届けは出したはずだ。

「ああ。それは問題ない。ただ、本当にいいのか?」

さっきと同じ事を言われた。しかし相手は自分の事情を知っている者だ。

「そういう約束ですから」

「そうか」

(それにしても、皆の慌てぶりは異様だな)

理由もなんとなく察するがそこまで酷いものなのか。

「教師という立場上、反対する理由はないがな。困ったことがあったらすぐ相談しろ」

「……覚えていたら」

おい、と抑止する声をよそに咲良は駆ける。

(相談なんて)

必要ない。今までもそうだった。そしてこれからも。

結局、最後に頼りになるのは自分なのだから。
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