本棚〜長編〜
□infinite
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男達の向かった方向へ駆け出す。
しかし、すぐに分かれ道がやってきてしまう。
『どっちだ…?』
勘に頼るべきか…。
いや、こういう時こそ落ち着くべきだ。
息を整えながら交互に道を見る。
その時。
「えらく大きなパイナップルだったねぇ。」
ん?
パイナップル?
井戸端会議をしている主婦達の声が耳に入った。
『すみません。そのパイナップルって大きな麻袋に入ってました?』
「えぇ、そうよ。男の人達が担いでいたから、どんな大きさかしら?って話してた所なの。」
『そのパイナップルってどっちに行ったかわかります?』
そう尋ねると「右の道よ。」と教えてくれた。
礼を述べて再び道を駆け出す。
「よっぽどパイナップルが好きなのね。」
えぇ、好きです。
ただ、そのパイナップルは人間です。
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