本棚〜短編〜
□宴の中で〜sideマルコ〜
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「「「カーンパーイ!!!!」」」
今宵は宴。
家族が増えるという最高の宴。
「エースです。以後お見知りおきを…。」
ペコリと海賊らしくない挨拶をするのは、今日から白ひげ海賊団の末の弟となったエース。
その後は、家族から揉みくちゃにされている。
俺は、オヤジの横でその楽しい騒ぎを肴にチビチビやっていた。
「マ、マ、マルコ隊長!」
呼ばれて顔を上げればそこには見慣れぬ女が立っていた。
「お前は確か、エースんとこの…。」
「ハ、ハイ。サリーです。お酌させて頂いてもよろしいですか?」
「あー。頼めるかい?」
そう言うとサリーは慌てて隣に座った。
サリーは、女というには少し幼いが、かわいい部類に入ると思う。
初々しいねぇ…。
「私、マルコ隊長に憧れてまして、お酌出来るなんて夢の様です!」
慣れない手つきで酌をしてくれた酒を一気に煽った。
「こんなオッサンに憧れてくれてるのか嬉しいね。お前も飲めよい。」
「頂きます!」
サリーは緊張の為か間違えてキツい酒を一気に飲み干してしまった。
「おい、大丈夫かい?」
ぽーっとなるサリーは、
「だ、だいじょうぶです…。」
というとコテリと俺の肩に頭を預けた。
こんな若くてかわいい女に甘えられて嬉しくない訳がない。
それでも、満たされないこの気持ちはなんだろう?