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「名前、いつからそんなに強くなった」

嬉しそうに声を張る忍田にクスリと笑みがこぼれる

「自分でもよくわかりません、ただ…

みんなの顔を思い出すと自然と勇気が湧くんです

一人じゃ何もできないけど、みんながいれば私は…どこまでも、強くなれる気がするんです」



戦場の最中、瞳を閉じて大切な人を想う



作戦室に響く名前の、落ち着きながらも力強い言葉



「春秋くん、慶くんに伊達にいじめられてませんからね」

「名前…!」

茶目っ気を含む声色もまた、皆に希望を持たす

この臆病な少女はいつからこんなに逞しくなったのだろう

いつからこんなに気高く、美しくなったのだろう

小さく叫ぶ忍田の声は驚きと感嘆を含むようだった

まるで名前の独壇場とでもいうように

狙撃銃を構えるその華奢な腕に誰もが注目する

それは作戦室の司令塔たち、本部を案ずる他の隊員たち

先ほどの砕け散る空の怪物に、興奮の色を隠せない

爆撃の根源があの名前だなんて、誰が想像しただろう

頼もしい狙撃を前に勝利を確信した者も多く

油断こそしないものの、大きな安心を覚えた





「名前!本部北側に複数のトリオン兵を確認!こちらへ向かっているわ!」


戦いはまだ始まったばかりだ

沢村からの情報に、名前の気が引き締まる


「あれは…!」

「バンダーか」

沢村の驚く声に忍田が続く


「名前、バンダーは強力な砲撃を放つトリオン兵だ!どう対応する、こちらから迎撃砲台を作動させるか!」


この敵を相手に一人での対応には限界がある

そう判断した忍田は迎撃砲台の指示を提案する


「いえ、私に撃たせてください」


冷静な声色に返す言葉はない





「負ける気がしません」




口角を上げ、同時に引き金に手を掛ける




「バンダーからの砲撃がきます!!衝撃に備えてください!!」



作戦室の全員が目を瞑った

しかし、来るべき衝撃は訪れず

代わりに穏やかな声が部屋に響く



「私の射程と威力は春秋くんお墨付きですから」



驚くことに、バンダーの放った砲撃を

迎え撃つどころかそのまま本体まで砕いてしまったのだ



「恐ろしいやつめ…」

驚愕がすぎ、うまく言葉が出ない忍田

名前の華麗な狙撃に開いた口が塞がらない



その後も、放たれる怪物の砲撃を全弾迎撃

存在を抹消するかのように追い打ちをかける"誘導炸裂弾"は

先日のランク戦で王子隊の蔵内が使用したものを見よう見真似で試したというのだから末恐ろしい



「素晴らしい」



圧巻ともいえる戦いぶりに唸る城戸



戦いはまだ終わっていない



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