nnmy

□14
1ページ/2ページ




嘘でしょ



登校して第一声は唖然とした声



「名前〜!無事でよかったよ〜!それにしてもすんごいかっこよかったよ!」

「アタシもみたよー!名前、ほんっとすごい!」

「可愛いだけじゃなくてかっこよさまで兼ね備えちゃうなんて〜!益々惚れちゃうわ」



友人達の恍惚とした表情とは対照的に

真っ青な顔で突きつけられるスマートフォンの液晶をみつめる


ボーダーの公式サイトに先日の戦いの概要と報告が市民向けに掲載されていた

そのトップ画面に一枚の写真が載せられていた

まさかとは思ったが、このユニフォームといい、場所といい、確実に自分だった

本部の屋上だろうか、真剣な眼差しでアイビスを構える姿が堂々と貼られていて冷汗が伝う

その状況にはとても覚えがあったためとぼけることなんてできない


"三門市を救った空の守り神"


と大きな文字が張り付いていて、ぎょっとする

こんなことする人なんて一人しかいない



「根付さん、ひどい!」


その小さな叫びは友人らの声に搔き消され

予鈴が鳴ってもその声はお構いなしに盛り上がり続けた






朝から身体に悪いものを見せられた気分の名前は

疲れが一気に押し寄せたような気怠さがあった

今日はいつも以上に学校の中が賑やかな気がして余計に疲労を感じる

そんな日に限ってよく人に話し掛けられるものだということも名前はよく理解していた





「お、名前!この間の活躍、凄かったらしいな、お疲れさん」

「あ、荒船くん」

ばったり出くわした荒船とは学校ではほとんど会わない

お互いの珍しい制服姿に新鮮さを覚える

「ありがとうね、でも私は何もしてないよ」

「謙遜すんなって、鋼もべた褒めしてたぜ」

「えっほんと!それは嬉しい」

いつも自分に良くしてくれる村上の名前を聞き目を輝かせる

その宝石のような瞳に胸が高鳴ったが得意のポーカーフェイスでごまかすことが出来た

「お前はスナイパー以外のポジションは考えないのか?」

「え、どうして?」

妙なことを聞いてくる荒船に首を傾げる

「パーフェクトオールラウンダーとかどうかなって」

「それは遠慮しとくよ」

筋肉の洗礼への誘いに即答した名前

自分にはスナイパーが向いているから、得意なことを伸ばすことにする

何とか荒船を言いくるめうまく逃げきれた




今日はやっぱり校内は騒がしい

身体に受ける生徒たちの賑やかな声を感じながら

足早に自分の教室へ入って行った




_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ