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先日の体調不良から数日、体力の不安はまだ残るが

熱もすっかり下がり、トリオンも普段通りにまで回復した


二宮隊の皆には、心配と迷惑をかけたと自己嫌悪になり

何かお礼をさせて欲しいと言えば、マメに作戦室へ来いと拍子抜けな要求があり

そんなことでよければ、と本部へ行ったときは頻繁に顔を出すようにしている

同い年の氷見とも仲が良く、時間を忘れ語り合っていることもしばしばで

入り浸ることに多少の罪悪感は感じたが

名前にとっても癒しの時間となっていたため

お礼になっているのかわからない日課を楽しんでいた



「今日は春秋くんと特訓、特訓〜」


久しぶりに会う兄貴分の存在を思い笑顔になる

不調を心配されたが、鈍った腕を立て直すためにと言えば

つきっきりで見てくれると嬉しすぎる言葉をくれ

思い切り抱きついたことを同時に思い出した




「あー!!名前さーん!!!」



回想がぱちんと弾け、聞こえた声に反応する前に胸元へ飛び込んでくる衝撃

勢いと重みに耐えきれず倒れそうになるのをぎゅっと支えられる



「っ、駿くん!?」

自分よりもいくらか大きい癖に

胸元へ飛び込んでくる確信犯に名前は気付かない

柔らかなそこに頬をすり寄せ満足そうな緑川を見て赤面する



「名前さん良い匂いがする〜」

「ちょちょ、ちょ!だめだってぇー!」

一生懸命にはがそうとしても

中学生とはいえ男の子だ

びくとも動かない少年に翻弄される女子高生


「あれ?なんか少し痩せたー?いつもより腰が細いよ」

こっちは異常なしだけど

そう言って名前の胸に顔を埋める

「ひぃい!せ、せ、セクハラだよお!」

目が回りそうなほど恥ずかしさを感じる名前は

蒸気が出そうなほどに顔を赤くしていた



「オレ、名前さん大好き!4歳差だけど、ダメ?」

上目遣いで言われ不覚にも可愛いと思ってしまうが

このままではロクな大人にならないと思い

説得力の感じられない真っ赤な顔で唸る


「そ、そういうセリフは本当に好きな人にしか言っちゃだめ!そ、そ、それと!

駿くんは年頃の男の子なんだから!女の子にやたらめったら抱き着いちゃだめ!

だめったら、だめだからね!!」


叫ぶような愛らしいお説教にクスリと笑う


「オレは本気だよ?名前さんにしかこんなこと言わないし、しない」


急に真剣な眼差しになる少年に

む、と言葉を詰まらせる名前

下がる眉と恥ずかしさで潤む瞳が緑川を見つめる




「名前、何をしてる」

「二宮さん!!」


今日は姿をみないな、と心配になり探しに出た二宮が

ちょうど通りかかったところで二人の攻防戦は終了した


「助けてください!セクハラエリートの薫陶を受けた中学生が私をいじめるんですう!」

「名前さんそれオレのことおお!?」

「何言ってんだお前ら」



ぎゅうっと二宮の腰に腕をまわし助けを乞う



「年頃だからそんなことすんなって言ったの名前さんじゃーん!!」

「二宮さんだからいいんだもん!」




救世主登場と思いきやまだまだ続く二人のいがみ合いに

なんとも介入することができない二宮は

ただただ腰にまわる腕を愛しく思うのだった



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