nnmy

□20
1ページ/2ページ




「えええええ!!!」



名前の悲痛な叫び声が本部の廊下に響く

まあまあ、と困った顔で宥めるのは大好きな兄貴分



「春秋くん、なんとか断って、お願い!ううう」


「俺も、お前が嫌がると思って断ったんだがな…悪いな名前」


「そんなあ!」




なんでも、名前の復帰を大いに喜び、その磨き上げられた高い戦闘能力を見込んだ本部が

戦法の研究と更なる未知へ対応していくボーダーの発展のためにと

"最強"同士の特別模擬戦を実施するとのお達しがきたのだ

隊に所属していない名前は、入隊当時そうであったように東とのツーマンセルで組むことになり

オペレーターを当時と同じく月見が担うとのことだった



本人の了承云々は関係ないらしい

完全に本部の思いのままになる展開に納得のいかない名前



「ボーダーの発展と私たちは何の関係もないじゃんー!」

「強いもの同士の戦いは大いに勉強になるからな、それがチーム戦なら尚更だ、本部は見本をもって隊員達の育成をしたいんだよ」



な、俺も一緒だから少し我慢してくれ



ぽん、と頭に手を置かれ、むうっと頬を膨らます



「蓮ちゃんは、いいって?」



東の優しい慰めに諦めた様子の名前は

拗ねたような口調ではあるが、現実を受け入れたようだ



「月見はお前と組めるなら、と一番やる気だ、安心しろ」

「なんか、久しぶりだね…」



かつての戦友を思い出しクスッと笑う名前に自然と頬が緩む



「さ、そうと決まれば早速ミーティングだ、初代東隊、再始動ってやつか」

「やるからには絶対負けないよ、私たちは」



よろしく、と改めて手を合わせれば

以前と同じ戦いの焔が瞳に宿ったように感じた



「特別模擬戦は二週間後の予定らしい、詳しくは俺が忍田さんと連絡を取る」

「うん、それで対戦相手とかって決まってるの?」

「玉狛第一らしいぞ」

「え」

「普段はランク戦に参加できないからな、あちらも俄然やる気だろう」

「春秋くん、やっぱり断ろう!絶対勝てないよおお!!!」





うわあああん、と二度目の泣き言は東の呑気な笑い声に躱された

その後、合流した月見の激しい温度差を感じるやる気に名前の弱気は呑み込まれ

その懐かしい空気感に再び、心の中が熱く燃えた





「名前、また一緒に戦えるのね、嬉しいわ!」

「蓮ちゃん、ありがとう、鈍ってるって言われないように頑張るから」

「何言ってるのよ、昔も今も名前は私たちの要よ、フォローは任せて思いっきり暴れて」

「蓮ちゃん…、私はいつも蓮ちゃんに自信を貰ってるね、ありがとう」

「名前〜!少し見ない間に更に綺麗になっちゃって!んもう」




普段の月見からは想像もつかない心からの笑顔は愛しの妹分にだけ

昔と変わらぬ月見の愛情に頬が緩む名前

かつての三人の絆が再び強く結びついたところで

模擬戦とはいえ負けられないぶつかり合いに

真剣な顔つきでの話し合いが今始まった



_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ