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二つのチームが特別模擬戦を行うという情報は

ボーダー内の掲示板に大々的に張り出され皆の注目を集めた

目的は、人材育成のための研究というだけあって

多くの隊員達が興味を示し、高ぶった

連日の本部内の賑わいに企画側である本部の人間もご満悦のようで

模範的ともいえるだろう戦法のお披露目を楽しみにしていた




「え、名前ちゃんと東さんが組んで玉狛と対戦!?」

「異様な光景ではありますが、興味はありますね」

「ほう」



各隊の作戦室に配られた当日の案内に

何かのエンターテインメントかよ、とつっこみを入れたくなる

そのチラシを制作したのが名前の母親だと知ったのはまた後の話だったが

こんな派手なことをしそうなのも彼女だろうと容易く想像はついた



「二宮さん、もちろんみに行きますよね!」

「当然だ」

「だから最近は名前さん、こちらにあまり顔を出さないんですね」



近頃、名前の姿をみておらず不思議に思っていたが

このための特訓をしていたのだとわかり、納得した



心配させやがって、負けたらただじゃおかねえ



ぼそっと呟いた隊長の不満に部下はそっと聞こえないふりをした

最近会えず、あの笑顔をみれず、寂しい思いをしていたのは自分たちも同じだった

一生懸命に特訓を重ねているのだろう

だからこそ、自分たちの寂しさも報われるよう、と言えばおかしいが

負ける姿などみたくはない、と心の中で激励する



「ギャラリー多そうですし、早めに席取った方がいいですよね」



にこりと笑う犬飼に、低く返事をする隊長

本部の中が、お祭りの賑わいを持っていて

その話題の中心に名前がいることが一番の不満に思う二宮

自分だけのものではないはずなのに、湧き上がる独占欲に苦笑するしかない

思い出すたび心に映るあの優しい笑顔と声

白く柔らかな肌に、頼りなく華奢な背中

その小さな背中に背負う彼女の全てを抱きしめてやりたい

自分の願望はいつ彼女に届くのだろうか




はあ、とため息がこぼれ

余計に大きくなる名前への思いが吐きだされた



特別模擬戦の当日までもう少し

憂鬱気味になる二宮とは対照的に

最終調整に入る戦士たちの気持ちは最高潮にまで高ぶっている






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