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「小南ちゃんはなんとか撒けたみたい、多分これから木崎さんと烏丸くんが追ってくると思う」

月見が随時送り続けてくれる位置情報

予想はほぼ的中だろう、迫る二つの点が新たな戦いを告げる

「俺も予定の位置より少し動いた、今の場所なら俺の射程内だ」

「さ、今からが本番ってところかしら」

二人の言葉に安心し、自分たちにしか見えない東のポイントを再度確認した

この場が今から自分たちの領域になったことを実感し、瞳が凛と揺れる




刹那

ギィン、と戦場に激しく鳴り響く音に名前は冷静だった

予想通り、追跡をかけてきた木崎と烏丸

烏丸の撃ち放った突撃銃をフルガードで弾いた

どの方向から奇襲してくるかわからなかったが

張り詰めた緊張の糸に引っかかる気配にしっかりと対応してみせた



さすがにこの一発で終わるわけがない

安易に攻撃を仕掛けていないことを分かっていた名前はフルガードを解かない

自分は今彼らの手中にいるのだろう

先に小南との一戦を交えた名前のシールドの耐久が落ちていることを見込んでいるのか

クロスファイヤーで名前への集中攻撃が始まった

これくらいの銃撃ならフルガードでしばらくもつ

あくまで落ち着いて、最善の判断を導き出す



視界に入った彼らの後ろから走り来る存在を見逃さなかった名前は口角を上げた


「っ!来るな、小南!」


短く叫んだ木崎は気付いてしまった

自分たちの思いのままだと信じたこの場が

すでに彼女らのテリトリーとなっていたことを

その領域に踏み入れた自分たちがいかに不利になっているのかということを

攻撃を避け、落ち着いた表情であちらこちらに飛び回る彼女の様子に

目的地など感じられず、また東がどこに潜んでいるのか予測も出来ない状況が

これほどまでに恐ろしいのかと思い知らされる

バッグワームを装着する東はレーダーに映らない

しかし一撃、一目でもその姿が確認できれば

だいたいの位置は予想できただろう

異様なまでに静かな空が寒気を誘った

ここまで出現しなかった東の役割と意味をようやく理解した

自分たちとはまったく異なる陣形と思われがちだが実は極めて似ているのだ

要となる者がいて、その後ろを守る者がいる

狙撃手一筋と疑わなかった彼女の攻撃手としての技量が発揮され

酷似するチーム同士の戦いであることにも気付かされた




初代東隊のチームとしての能力が今、解放される




「っ!!」

「はっ!!」


木崎の制止の叫びは一歩遅かったらしい

クロスファイヤーを防ぐ名前を

隙を狙って一刀両断にしてやろう

彼女の素直すぎる作戦に落とし穴があった


閃光の如く空間を切り裂く銃弾


一撃で小南を仕留めるはずだったそれは

彼女を庇った木崎の心臓部を貫通した


「レイジさん!!」


烏丸が声をあげるも、強烈な一撃は

供給器官を容赦なく撃ち砕き猶予もなくベイルアウトへ追いやった


『なんと!!両者合流したところで早くも木崎隊長のベイルアウト!ここで初代東隊にポイントが入ります!

狙われた小南隊員を庇ったのでしょう!散り方も男らしい!!

隊長のベイルアウトを受け、烏丸隊員、小南隊員はどう動くのでしょうか!

そして、両者味方と合流した様子、チームとしての力量に注目です!』



「レイジさん、とりまる、ごめん」

「小南先輩、反省は後からですよ」


片手で戦斧を握る小南

突撃銃を仕舞い弧月を手にする烏丸

得意な接近戦で勝ちに行くしかない

悠々と立ちはだかる名前へ飛び込んだ




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