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「名前、どうしたその格好」

「あ、春秋くん」

狙撃手用訓練施設で行われる合同訓練にいつも通り参加している二人

もちろん、トリオン体というわけだが

今日の名前は普段と違う装い

身体のラインが映える黒いハイネックのノースリーブ

手元はいつもと同じ手套で隠されている

おそらくインナーと思われるが完璧に着こなしている様に驚く

通常は見えない、名前の白く長い腕が露出している

きゅっと締まった腰のラインが何とも言えない色っぽさを演出していることに本人は気付いていない

インナーで出歩くことは別段おかしなことではないが

今日に限ってどうしたものか、と疑問を浮かべ妹分に問う


「お母さんが雷蔵さんと、私の隊服のデータを少し補正するんだって」

「随分長いこと手を入れてないもんな」

「色々と直してもらいたいところもあったし、ちょうどいいかも」


眉を下げて笑う名前に頬が緩む

さあ、今日も練習を始めるか

周りを見渡せば、普段と違う名前の様子に皆、釘付けになっている

こんなんで今日は練習ができるのか、と頭を抱える東


「ほら名前、これ羽織っとけ」

「え、いいのに」


有無を言わさず自らの隊服の上着を

小さな肩にかけてやるのは、同い年の荒船

不思議そうな顔をする名前が彼を見つめる


「あー、お前今日はここで見とけ」

「えー!なんでー!」


肩にかけてやったはいいが

大きめのジャケットを無意識にきゅっと掴み自分を見上げる美少女の破壊力に

到底耐え切れず、ぷいっと顔を逸らす

ちらちらと見え隠れする白にも目が眩みそうだったため

余計なことをしたか、と後悔さえした


「荒船くん、私元気だよ!ねー、春秋くん!」

「ああ、でも今日は荒船の言う通りにしておけ」

「春秋くんまで!」

ぶー、と不満気に口を尖らせる名前の頭を優しく撫でてやる荒船

「今のお前は、なんつーか…目に毒だ」

悪いが今日は大人しく見とけ

耳元でこそっと囁かれ、文字通り大人しくなった名前は単純で可愛いと思う

こんなことなら今日は合同練習に来なければよかったと

皆に迷惑をかけた気分の名前は罪悪感を覚え

片耳の熱が冷めないまま、皆の練習の様子を眺め小さくため息をついた



「奈良坂、今日は調子が悪いのか」

「あ、いえ、そういうわけでは…」

「奈良坂先輩、名前先輩に動揺してるんですか?」

「日浦、余計なことは言うもんじゃない」

「悪いな、隊服のメンテナンスらしい、今日一日は我慢してやってくれ」

「東さん、俺は決して動揺しているわけではなくて…」

「あ、また外した」

「奈良坂、絶好調だな」

「帰ってもいいですか」



狙撃手たちの苦悩など全く耳に入っていない名前は

楽しそうだなあと皆の様子を微笑みながら眺めていた



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