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「うわっ!」


思い切りぶつかってしまった、人であることはほぼ間違いない

跳ね返され床に尻もちをつく想像が一瞬頭をよぎり

衝撃に耐えようとぎゅっと目を瞑ったが

訪れない痛みに、不思議に目を開く



「あっ…」

「あ…」



自分が思い切り飛び込んだ人物とバッチリ目が合った



「に、二宮さん…!」



最近よく本部で挨拶を交わす、射手1

仏頂面であまり表情がない彼が

今とても驚いたような顔をしている


突然自分の胸に飛び込んできた人物が名前で

咄嗟とはいえ、倒れていきそうな小さな身体を衝撃から守るため

片手で白く細い片腕を

もう片手で華奢で頼りない背中を

強く引かないようふわりと支えていた



「ああ…すまない」


名残惜しい気もしたが、女性に気安く触れるものではないと理性が勝ち、パッと手を離す


「わ、私こそすみません…!廊下走ってましたし、前もみてませんでした」


慌てながらも深々と頭を下げる彼女に少々困惑する

そんな申し訳なさそうな顔よりも、笑顔をみたい



「どこも痛めてないか?」

「え…、はい大丈夫です」

「ふ、それならいい」



目を細め、穏やかな表情の二宮とまた目が合う

こんな顔もするんだ、ドキリと心臓が鳴った気がした


「に、二宮さんは…痛くなかったですか…その、勢いよくぶつかってしまったので」


視線を落とし、尻すぼみな声が愛らしく感じる


「お前ひとりぶつかってきたところで、痛くも痒くもねえよ」


ふっ、と小さく笑い

安心させるように名前の頭に手を置く



「二宮さんは優しいですね、ありがとうございます」


「っ…!」


照れたように、頬を染めながら

ふんわり微笑む名前に一気に体温が上昇した




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