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「名前、遠慮しないで思いきり戦ってね」

「援護は俺達に任せろ、あの頃みたいに豪快にやれ」

「うん、緊張するけど…二人の声を頼りに戦うよ」


程良い緊迫感の中迎えた本番

二週間、感覚を取り戻しつつ特訓を重ね

あの頃の自分が戻ってきた気持ちになる



「名前〜!いたいた、間に合った!今日は一大イベントだなあ、頑張れよ!」

「慶くん!!」


わざわざ激励に訪れた太刀川にぱあっと顔が明るくなる


「あら、太刀川くん、席はもう取ったの?」

「せがんで解説席に置いてもらうことにした」

「お前は本当、名前には熱心だな」


武富、風間と並び解説席にいれることを喜ぶ太刀川


「当たり前っすよ〜なあ、名前ー!」

ぎゅうっと抱きしめ、背中をさすってやる

その手に安心し、緊張がいくらかほぐれる

「ありがとう、慶くん」

「俺に勝ち越してんだから、負けたら許さないからな」

両手で柔らかな頬をつまんで引っ張る

「はひ、わかりまひは」

了解の声を聞き、よしよしと頬から手を離し髪を撫でてやる

「だが、相手は玉狛第一だ、全員がレベルの高い隊だからな、油断するなよ」

一人で一部隊に匹敵する小南をエースに

パーフェクトオールラウンダーの木崎と

あらゆるトリガーを臨機応変に使い分ける烏丸が援護にいるとなれば

ボーダー最強のチームと言われる所以も理解できる

もちろん油断などできない

だが、不思議と負ける気がしなかった

大好きな姉貴、兄貴分への絶大なる信頼と

自分たちの戦歴への自信からだろうか

心地よくリラックスできた名前の表情は

いつになく柔らかく、そしてその瞳は涼しく凛としていた



その名前の表情に当時を思い出す三人

戦いへの不安と恐怖が取り払われた今

この少女はどこまでの力を見せるのだろう



あの頃と同じ目の色をしている彼女をみて

名前の本当の実力がみれる、と三人の気持ちが更に高まる



「さ、そろそろ時間だ、会場へ行くぞ」

「健闘を祈ります」



東を先頭に歩くその姿は

すでに強烈な存在感を放っていて

確固たる強さをそのオーラで表現していた



まるで有名人をみているかのような周囲の視線を気に留めることはなく

ただただ集中の一本糸をピンと張っているのだった




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