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宇佐美からの情報に唖然とした

「名前さんが弧月を持ってる!?」

「俺達に近距離で挑む気だ、攻撃手としても相当な自信があるんだろう」

「でもかえってその方が都合よくないですか?名前さん一人追い込めばうちが有利です」

「東さんの射線に入らないことが大前提になるけどね」


それぞれ、警戒しつつ合流を急ぐ


「こなみが今のところ名前さんに一番近いね、ここで足止めして二人の到着を待つのがマストかも」


宇佐美の落ち着いた助言に納得する三人


「あたしたちは短期決戦!いつもの方法で一気にケリをつけるわ!」

「思い切り暴れろ、俺達が着くまで稼げよ」

「結局作戦はいつものってやつですね、了解」


息の合う会話は彼らの長年の絆を示す

特別手の込んだ作戦を仕込まない普段のスタイルは

頂点ともいえる火力と連携をもってして生まれる自信から

宇佐美から送られるレーダーの情報から

標的とする名前に向かって一直線に走る


「こんなにワクワクするのはいつぶりかしら」


愉しそうに笑う小南

大きな瞳にその人物を捉えた

マンションの屋上で飄々と風を浴びる姿に思わず息を呑む

同時に湧き上がる、勝ちたいという感情で無意識に奥歯を鳴らす


視界に入る鮮やかなグリーン

高ぶる気持ちを抑えられない小南と目が合った


「おっと」


これは作戦なのか、うっかりなのか

慌てて姿を眩ます名前を逃がすかと追い掛ける


「春秋くん、小南ちゃんに見つかったから逃げるね」

「ギリギリまで頑張れよ」

「了解」


こんなスリルのある鬼ごっこは太刀川以来だろう

周囲を気にしつつ立ち並ぶ建物を飛び越え北を目指す




「逃がさない…!」




背後に感じたかすかな気配を名前は即座に感じ取り屋根から飛び降りた

その判断が的確といえるように、自身がいた場所に巻き起こる爆炎

崩れ落ちる建物が黒煙に包まれる

強烈な爆風で舞い上がる黒髪、その広範囲の威力にぞっとする

通常ならとどめで使用するメテオラを名前の足止めにと放ったらしい




寒気を感じるのも束の間

上空から降ってくる二つの斧とグリーンが目に入り

東との合流には予定より時間が掛かることを理解した



「蓮ちゃん、春秋くん、思いのほか早く捕まったみたい、悪いけどここからは交戦しながら北へ走ります」

「了解、随時位置情報は送り続けるから、私の指示にも耳を貸してね」

「わかった、少しくらい派手にやってみろ」


緊迫する自分とは異なり微笑む顔が想像できる声色の二人に

なぜだか安心感を覚え、思わず頬が緩む



名前の瞳には向かい来る強敵が映し出される

少女の不敵な笑みを捉え、戦う覚悟を決め得意な武器を握り締めた




『おーっと!ここで初めて交わる刃!!

小南隊員の双月による上方からの強烈な斬撃を

水瀬隊員、なんと弧月一本であっさり薙ぎ払いましたああ!!』




ついに戦いの火蓋が切って落とされ

その瞬間に会場のボルテージは急上昇した


解説席の風間もまた、目を見開き驚きを隠せない

ただ一人満足気に頷く太刀川が会場では浮いて見えた



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