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刃と刃が激しくぶつかり合う

烏丸の振り下ろす弧月をひょいと躱し

脚線美を武器として空を切りまわし蹴る

怯む烏丸と距離が開いたところで

小南からの斬撃を飛び避け彼女の背後へ回った

俊敏すぎる名前の動きに対応できず背中への衝撃で地に転がる



二対一の状況だろうと決して劣らない

むしろ二人を圧倒する名前の剣舞は観戦する者を魅了した

華麗なさばきと、動きを見切っているようなしなやかな身のこなし

名前に対し傷一つ付けられない悔しさが振るう刃に重みを加える



起き上がり、走り迫る小南に決着を意識する

がむしゃらになりかけている彼女にまずい、と一歩踏み出す烏丸



直線上で疾走する彼女に向かい再び放つ名前の追尾弾



「エスクード!!!」


地面からそびえ立つ堅固なる壁が二人を守った

だがその判断さえ、彼女のシナリオ通りだった


「春秋くん、お願いね!」


この戦いの中で最も力を集中させ渾身の斬撃を障壁へ食わらす


「!!!」


二人を隠したはずの盾は

たった一本の弧月に両断される

驚愕の色をした瞳と向こう側の凛とした瞳がぶつかる

スローモーションに見える世界に敗北を感じた烏丸

次の瞬間、目の前の彼女の長い髪が不自然に一部跳ね上がったと思えば

光が、自身の心臓部、小南の頸部を貫いた

それが東の放ったものだと気付いたのはそのすぐ後

味方の首元間近のところを通過し目標を撃破した緻密な計算、優れた技術

そして何よりも仲間への絶対的な信頼を目の前で見せつけられた二人は

言葉を発することもできず、供給器官破損により緊急脱出を余儀なくされた




観戦する会場内も今の細やかすぎる展開に

一瞬唖然となるが、ただ一人モニターに映る美少女の姿にすぐさま大きな歓声が沸き上がる

圧倒的ともいえる初代東隊のチームワークと力量に興奮の一色



『こ、ここで試合終了です!!最後は苗字隊員のエスクードごと斬り倒す豪快な斬撃と

東隊長が放った、死角となる味方の急所ギリギリを通過させた

精確すぎる一撃のコンビネーションが圧倒的勝利へと導きました!!』


『さすが東さんだな、あの技は東さんと名前にしかできっこない、妬けるな』


『玉狛第一も最後まで東さんに撃たせなかったすばしっこさは評価できる

木崎の咄嗟の判断が二人を残したことも忘れてはいけないな』



あくまで模擬戦ということで、ポイントの結果発表はなかったが

完全勝利の初代東隊への賛辞の声が多く叫ばれていた




「負けちゃったけど、不思議と悔しくないわ」

「なんかもう、清々しいくらいの完敗です」

「だが、俺達にはまだ成長の余地がある、これからも頼むぞ」




本来の戦闘スタイルを十分に発揮できなかったが

そこに至るを許さないほどの大きな力に

気持ちのいいほどの敗北を感じた三人

同時に、この戦いを経て自分たちの絆がより深まった

負けたことで大切なものを手に入れた気がして心が温かくなる



「あとで名前さんにお礼しに行かなきゃ!久しぶりにたくさん話したいし」

「あ、俺も行きます」

「何か手土産でも持っていくか」



反省会もそこそこにして尊敬の眼差しを向ける彼女へ早く会いに行こう

小南の素直な心はやっぱり彼女の長所である



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