tj*2nd
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「ほんと、名前には驚かされるよ〜」
「ごめんごめん」
「嫌われた〜って泣きそうな顔して帰ったと思ったら、付き合うことになりました〜なんて!そんなハッピーエンドあるぅ!?」
「あはは!」
「もう、アタシもハラハラしたけどすっごく嬉しい!」
「ありがとう、栞ちゃん」
「だけど、アタシにもたまには構ってよね」
「何言ってるの、私の親友は栞ちゃんだけだから」
これからもよろしくね
そう言った名前に思い切り抱きつく
「まったく〜!可愛いんだから」
「栞ちゃんの方がずっと可愛いよ」
「ふふ、あ、ところで名前?」
お昼ご飯の途中くっついて離れない宇佐美に微笑みつつ、緩く返事をする
「名前は結局ボーダーには入らないの?」
「あー…そのことも新之助くんに相談しないとなあって思ってた」
「反対されるぞこりゃ〜」
「あはは、そのときは言うとおりにするつもり」
「ったく…お熱いぜ」
「早く食べないと、お昼休み終わっちゃうよ?」
「あ、ほんとだ」
親友との変わらない昼休みに心が安らぐ
「名前自身は、ボーダーに入りたいって思わないの?」
もぐもぐと口を動かしながら器用に話す宇佐美が可愛いなと思いながら微笑む
「うーん、よくわからないんだよね」
「やっぱり怖い?」
「それもある、私はあんな化け物と戦える勇気がないもの」
出水に協力したあの日も感じた大きな恐怖
彼がいたからこそ心に余裕があったものの
自分だけの力で市民はおろか自分自身を守れる自信がまるでない
「だけど、ボーダーに入って、戦えなくても何かの力でみんなに協力できるなら…ぜひとも入隊したいとも思う…」
「そうか〜、でも無理にはいいんだよ?それこそ、辻くんの意見次第ってやつかな」
「今日の帰り、相談してみることにするよ」
あとで電話でもいいから、教えてね
そう約束をして昼食を終える
彼のいる教室へ戻ると、席の周りで友達に囲まれている辻と目が合う
小さく微笑み合い、名前は席に着いた
すぐに名前もクラスメイトに囲まれ背中は見えなくなる
賑やかな教室が以前は鬱陶しかったが今は何故だか心地よい
早く放課後にならないかな
二人の心の中では同じ気持ちが占めていた
「辻いいい!お前ずるいぞ!!我らが女神様をよくも!!」
「なんのことだ」
「ちくしょう!この爽やかな顔がむかつくぜ」
「辻!チューしようぜ!こうなったら名前様との間接キスだこの野郎!!」
「やめろ!来るな!!」
今日の辻はなんだか楽しそうだな、と
会話があまり聞こえないがぎゃんぎゃんと騒ぐ後方に頬が緩んだ
「名前と辻くんはほんっと、よくお似合いだよ〜!」
「本当?ありがとう」
「美男美女カップルって有名だよ!友達としても鼻が高いぜ!」
「ふふふ、おおげさだって」
名前の幸せオーラにこちらまで蕩けそうだと思う友人達
ようやくか、と思った美男美女カップル誕生に
クラスメイトからも喜びの声があがる
なんて幸せなんだろうと心から感じる名前だった
友達との話し方も笑い方も、こんなに自然と違和感なくできるようになった
驚くべき変化に辻への感謝で一杯になる
これからもこの恩を忘れず、彼についていこう
昼休みの終わりを告げるチャイム
放課後にまた近づく音にわくわくし次の時間の教科書を用意した
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