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「絶対だめです!!!」


「いやあ、そこをなんとか」


「何度言ったら分かるんですか!それに、兄を亡くして泣いてる名前が画になってた、なんて、そんな不謹慎な話がありますか!?」


「それは、市民の方の一つの感想であって、その人も、我々も決して人命を軽視しているわけではありませんよ

広報部としては、市民から人気を集めた名前さんをモデルに、宣伝活動を行いたい、とただそれだけです」


「そこに至るまでの経緯に、親として納得がいきません!まあ、うちの名前ちゃんは可愛いですけど!可愛いですけど、可愛いからこそ譲れません!!」


「そうなんですよ、苗字さんちのお嬢さんは可愛いから、そう可愛いからお願いしているのです」


「ですよね〜、名前ちゃんったら可愛いんですよ!?根付さんってば、わかってらっしゃる!!」


「ですからね、ぜひともモデルのほうを」


「この間、名前ちゃんったら朝寝坊しちゃって!慌ててお家飛び出して行っちゃったんですよ〜?もう、そんなところも可愛いな〜って!」


「親としてそこは起こしてあげるべきですね、ですから名前さんをモデルに」


「この間なんて、名前ちゃんがびっくりする顔がどうしても見たくなっちゃって!リビングで死んだふりしたら名前ちゃん、驚くどころか、わんわん泣いちゃって〜、可愛いでしょ?」


「それは人として最低ですよ」




あー、今日はもういいです

また後日お話しますから




メディア対策室は今日もこの2人の会話で賑やかになっている

根付の名前さん広報部へ勧誘作戦は

本日も天然親バカにより失敗に終わるのだった

なんとか本人に直接コンタクトがとれれば良いのだが

この親意外とガードがかたい

名前はそのうちまた本部にレギュラーとして

戻ってくるから、そのときまでは

とか言っていつも逃げられていた

久しく本人に会っていないが

若年ながら完成した美貌はきっとこの親譲りなのだろう

自分の世界にすっかり入ってしまったバカ親は

しばらく戻ってきそうにないため

例の如く、放置しておこう




はあ、とため息をつくが

周囲の部下達に笑われる始末だった




自分の威厳とは




思わず聞きたくなってしまった根付だった






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