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「お!名前みっけ、レギュラーに戻ってきたっつー噂は本当だったんだな」


名前が今は会いたくないと切に願っていた人物が目の前に現れ、思わず嫌そうな声が漏れる


「げっ、太刀川さん…」


仲が悪いわけではない、むしろ入隊時期も同時期の仲良しだ

しかし戦闘狂大学生は、A級とはいえか弱き乙女の体力など関係なしに

模擬戦ブースへ引きずり込むなどと容赦はない


本格的に復帰したばかりの名前にとって

まだ実戦での訓練は避けたいところ

ましてや相手が太刀川となれば尚更

東との穏やかな特訓とはわけが違うのだ

数年前に痛い目をみた名前にはもはやトラウマだ



攻撃手1のプライドもあり

自分が勝ち越すまでの10本勝負

少しでも手を抜いた攻撃を与えればもう10本

勝ち越せば勝ち越すでその快感をもう一度とまた10本



永遠と終わらないハードな10本勝負が思い出され

本能的に、逃げろと全神経が反応する





「なんだよ〜嫌そうな顔すんなって、せっかくの可愛い顔がもっと可愛くなるじゃねえか」


「ちょっと意味わからないです」




こうやって話しているうちはいいのだが

180cmの大男に捕まれば自分は囚われの身だ

自然と後ずさる名前に、迫る太刀川




「よし、名前!久しぶりに手合わせ願おう、か…っておいいい!」




最後まで聞く前に、背を向け全力疾走

逃げるが勝ち、とはなんて良い言葉だ




「鬼ごっこも久しぶりだな!」


それはもう、嬉し楽しい戦闘狂の声を背に受けさらに恐怖を感じた名前

自分がどこへ走っているのかもわからないが

とりあえずこの男を撒くまで走らなければ



あらゆる場所を駆け回りなんとか視界からは撒け、少し速度を落としても余裕ができてきた

しかしあの底知れぬ体力の持ち主だ

油断はできない、とまた一つ角を曲がろうと飛び込んだ




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