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「で、何をそんなに急いでいた」

上昇する体温が悟られぬよう

あくまで落ち着いて、慌てる理由を問う

「世界一恐ろしい鬼ごっこです」

青ざめた顔で言うのだから笑ってやるのも躊躇う

「なんだそれ」

「忍田さんか春秋くんに匿ってもらおうと思ったのですが、こんな時に限っていなくて」

残念そうにため息をつく名前にチクリと胸が痛む

自分ではだめなのか、ストレートに言えないことがもどかしい



「お、名前!逃げるなんて少し見ない間に随分悪くなったじゃねえか」

「うわ」

「太刀川…」

撒けたと思ったのに、やはり侮れない戦闘狂

名前の表情をみて逃げる原因と忍田、東を探す理由も納得できた二宮



「って、なんで二宮がいるんだよ!」

「お前こそ何の用だ」

「太刀川さんのせいで二宮さんに思いっきりぶつかっちゃったんだからね!」

「廊下を走るやつが悪いだろ!」

「追いかける人が悪いんだよ〜!もうもうもう!」



太刀川の胸板を片手でパシパシ叩く

その光景さえ二宮には毒でしかない



「二宮さんに嫌われたら太刀川さんのせいだからね!許さないからねえ!」



うわあ、と顔を真っ赤にして叩き続ける名前

不覚ともいえる言葉に二宮の耳が染まる



「そんなこたぁなさそうだから、大丈夫だ」



にやり、と愉しそうに笑う太刀川が憎い



「ほんと?」

今度はしゅん、と不安そうに眉を下げる

「ほんとほんと、本当にお前は変わらず可愛いな」

わざと二宮に見せつけるように

名前をぎゅっと抱きしめてみせる



「うわ!やめて!忍田さんに言いつけますからね!」

「名前が前みたいに"慶くん"って呼んでくれたら離してやる」

「年頃になると呼びにくくなるものです!だから離してください!」



攻防戦を繰り広げる中、太刀川と目が合う

いいだろ?そう言わんばかりの表情に無性に腹が立つ


「太刀川てめえは蜂の巣だ」

「おお、そろそろ怖いから俺は戻るぜ」


面白くなりそうだ、とそれはご機嫌になって

背を向け歩いて行った太刀川に名前はホッと胸を撫で下ろす





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