nnmy*2nd

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二人の気持ちが一つになったあの日から数週間

日々愛を深めつつも変わらない日常を過ごしている

二宮と名前が想い合っていることに対し、周囲は驚いたが

それ以上に似合いすぎる二人へ祝福の声がほとんど

もちろん、素直に祝うことのできない者も中にはいて、少数派の嘆きが今日も本部に響く…



「チクショウ二宮…許さん」

「お前に許しを乞うつもりはない」

「ははは」


こんな会話はこの数週間で何度繰り返されただろう

大切な妹分を横取りされ悔しさ全開の太刀川を鼻で笑う二宮

「名前〜!いいのかこいつで!いいのか本当に!」

「うん!匡貴さんがいいのー!」

いつものようにぎゅうぎゅうと抱きしめれば変わらぬ愛らしい笑顔

あはは、と呑気な雰囲気ながらも熱のこもる発言に泡を吹きそうだ

すっかり心酔している名前に満足気な二宮は余裕の笑みで腕を組む


「二宮の野郎、前はこうしただけで形相変えて妬いてたくせに!今はもう余裕の表情ってやつか!」

ますます気に入らない、と歯を食いしばる太刀川

「え、匡貴さん、ヤキモチ妬いてくれてたんですか」

「あ…いや…」

キョトンと素直な疑問をぶつける名前

聞き流そうとした事実に向き合わざるを得ない二宮は動揺を隠せない

「そうだぞ名前、俺とお前が仲良すぎて、こいつ超嫉妬してやがんの、可愛いとこもあんだぜ?」

へっと笑う太刀川に余計に言葉が詰まる

「てめえ、覚えとけよ」

「おうおう、意外と嫉妬深いんだなお前って」

「だったらなんだ」

「そんな仏頂面じゃあ、こいつには伝わらないと思うぞ?」

「余計なお世話だ」

二宮の意外な一面を知った太刀川

形勢は逆転し、二宮をからかうようにニヤリと笑う

「もう、慶くんったら」

呆れて笑う名前の表情に

"伝わらない"という冗談めいた声がこだます

せっかく通じ合った心が離れていくのは嫌だ

若干の焦りを感じる二宮はすぐに太刀川から名前を引き剥がし連れ戻そうとした

「あのね」

名前の優しい声色にその行動が遮られる

ん、と問いかける太刀川の腕をそっとほどきその腕を取ったまま向き合う

チクリと胸が痛んだが、黙って彼女に注目していた

「慶くんは私の大好きなお兄ちゃんだよ、春秋くんもそうだけど…とっても大切なの」

「名前…」

「…」

優しすぎる頬笑みに思わず見惚れる太刀川

「そしてね」

ふわりと離れる腕、遠退く甘い香りが鼻をかすめる

そのまま、収まるべき胸元へ自ら身を預け蕩けきった表情で言葉を続けた

「匡貴さんのこと、とっても愛してるの!」

「…っ!」

さっきまでの不安と焦りはどこへやら

自分の胸元に顔を埋め、嬉しそうにすり寄る名前が愛おしくて仕方ない

「ねー、匡貴さん?」

「…ああ」

「チクショウがああー!!」

二人だけの甘い空間ができてしまい

その空気に嘆き苦しむ太刀川に通りすがりの者は思わず合掌

扱いにくいだろう二人の男も、名前の声ひとつで単純に変わる

そんな姿もまた面白く、周囲を和ませた




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