長編 夜香花(やこうか) 完結

□第九話 宴
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次郎「主〜、やだ〜、全然飲んでないじゃないかい」


うわ……とうとう出た、酔っ払い
太郎の兄弟、次郎は普段から少し酔っ払ってる


主「次郎、私の事はいいから、長谷部を飲ませてあげて下さい」

長谷部「は?俺は大丈夫だ、飲んでる……うわっ、止めろ次郎っ!離せっ、主っ、主〜〜〜っ!!」


次郎(酔っ払い)は貴方に任せましたよ、長谷部

次郎に引きずられて行ってしまった長谷部
その空いた席にすぐさま座った誰か
ふと見ると、それは蜂須賀だった


蜂須賀「杯を空けて下さい、主」


私のすぐ側まで来た彼は、徳利を差し出す
困った私は、汁物のお椀の蓋に、杯のお酒をあけた


蜂須賀「あれ?飲まないのかい?」

主「飲めないのです。ですが形だけ、頂きますよ」


そう言い空の器を彼の前に出す
その私にちょいちょいと手招きした


蜂須賀「それは残念だね……酔った主を見たかったのに」


そう耳元で囁く蜂須賀
その時、突然遠くから長谷部の騒ぐ声が聞こえた

ガシャン!!


長谷部「次郎っ、やめろっ、離せっっ!!」

次郎「主ばっかり見てんじゃないよっっ!!」


じゃれ合う二人
周りの皆も楽しそうに笑っている


主「クスクス、長谷部が楽しそうで良かったです」

蜂須賀「そんなに長谷部君が気になるかい?」

主「ええ、毎日私の世話ばかりさせてますからねぇ」

蜂須賀「…………妬けるね」


最後の言葉は、聞かなかった事にした
一人で手酌し始めた蜂須賀


獅子王「主!!」

主「獅子王!今日は鵺はどうしました?」

獅子王「部屋に置いて来た」


あれを一度触らせて貰おうと思っていたから残念だ
ゴワゴワなんだろうか?フワフワなんだろうか?


獅子王「主が庭先の花畑がお気に入りだって聞いたぜ」

主「ええ、あの花を観賞する為に、歌仙から椅子を作って貰ったんですよ」

獅子王「俺があの花畑手入れして、もっと綺麗にしてやるぜ」

主「それは楽しみですね」


今でも綺麗なのに、あれ以上になるの?
想像出来なくてワクワクする
そんな私を、横で見ていた蜂須賀がクスリと笑った


主「?」

蜂須賀「貴方も、そんな顔するんだね」

主「いけませんか?」

蜂須賀「いえ、とても可愛らしい」

主「………………」


もう、酔っ払い
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