長編 夜香花(やこうか) 完結

□第九話 宴
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次第に皆、酔ってきたのか、あちこちが騒がしくなる
気付くと、食事を終えた短刀達がお給仕に回り、酔っ払い達の間を行き来してる


秋田「主君、お茶を持って来ましょうか?」

主「ありがとう、では、お願いします」


パタパタと厨へ走り去る秋田
粟田口の短刀は、良く出来た子達だ


同田貫「おい、主っ!!」

主「は、はい?!」


一升瓶をドンッと置いて私の前で胡座をかいた同田貫
初めてこうやって話し掛けられて、ちょっと緊張する


同田貫「俺は、鑑賞用じゃねぇ」

主「酔っているのですか同田貫?そんな事、分かっていますよ」

同田貫「じゃあ、もっと出陣させろっっ!!」


と、そこまで言った途端、数人に囲まれた同田貫


同田貫「な、何すんだ!!」

燭台切「はいはい、主に絡むのは止めようね〜」

伽羅「俺は馴れ合うのは、嫌いだ」

山姥「…………行くぞ」


せ〜ので持ち上げ、撤収される同田貫
それはまた見事な仕事っぷり
多分みんなで、気使ってくれたんだと思う………ありがとう


秋田「お待たせしました主君」


どうぞ、と渡されたお茶
お礼を言ってそれを啜っていると、鯰尾と骨喰が来た


鯰尾「主!!」

主「どうしました二人共、楽しんでますか?」

鯰尾「はい、それより………早く出せよ」


そう、骨喰に言った鯰尾
その骨喰が、私に手を差し出した


骨喰「遠征の時に拾ったんだ……」


私の掌にコロリと落ちた物
それは、緑色をした美しい石だった


主「綺麗……これを、くれるのですか?」


コクリと頷く骨喰
何だか少し恥ずかしそうだ


主「ありがとう、大切にします」


「じゃあね」と去る二人
直後、話し掛けて来た蜂須賀


蜂須賀「見せて……これは、翡翠(ひすい)だねぇ……磨くと、もっと綺麗になるよ。良かったら俺が加工してあげようか?」

主「本当ですか?お願いします!」


そう言って翡翠を手渡した
それを受け取った蜂須賀は、嬉しそうにニコリと笑った
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