長編 夜香花(やこうか) 完結

□第一話 ログイン
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ここは本丸の二階
審神者である、私のプライベートスペース


昼前に起きて「う〜ん……」と背伸びをして、布団から出た
そして、目覚める前から騒がしかった庭を、窓から覗き見る



今剣「わ〜い、つぎは、さよがオニです」

小夜「…………」

粟田口「「「逃げろ〜!!」」」



短刀達が鬼ごっこでもしているのか、キャアキャアと走り回っていた

とても楽しそうで、思わずこっちまで笑ってしまう
こんな風にいつも、こっそり覗き見ては、ほっこりとした幸せな気分に浸っている

そんな中、彼の声が聞こえた



長谷部「おはようございます主、そろそろ起きて下さい」



真っ直ぐで誠実な刀剣男士、へし切り長谷部
私の全てを任せてる、本人いわく《主御世話係》だ

行き過ぎとも取れる真面目な彼
そんな長谷部を、今日もちょっと、からかってみよう



主「起きてます……入っていいですよ」

長谷部「失礼します……………っっは!!」



開かれた窓に腰掛けて、足を組む
惜しげも無く、むき出しにした私の足を見たであろう長谷部

たったそれだけで、顔を赤く染め、慌てて目を逸らす彼の反応は、凄く新鮮で可愛かった

それを見て思わず吹き出す



主「プ〜ッ……長谷部、か、顔……クスクス……」

長谷部「ま、ま、また、からかわれたのですね?いい加減にして下さいっっ!!(真っ赤)」

主「クスクス、ごめんごめん。長谷部は、からかいがいがありますね」



すぐに立ち上がり裾を戻す

いつでも私の味方で、何かと助けてくれる彼
イタズラはその彼への、いわゆる愛情表現だ

とは言っても男として見ている訳じゃない
男はリアルの世界で、懲り懲り



長谷部「今日は、運営のお知らせを見に行く日ではありませんか?ふざけてないで、早くお支度なさって下さい!!」



コホンと一度咳払いをすると、気を取り直した長谷部
これもいつもの事で、イタズラの後は必ずこうやって軽く叱られる



主「はいはい……長谷部は、口うるさい母親のようですね」

長谷部「……………」



母と言われた事が心外だったのか、少しムッとする長谷部



そうだった……今日は、ここから出なきゃならない日
せっかく楽しかった気持ちが深く沈む
憂うつだな
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