長編 夜香花(やこうか) 完結

□第三話 違い
1ページ/6ページ

あれから人数も更に増え、小夜に2人の兄、粟田口に叔父らしき謎な人物が顕現された



主「で………鳴狐とは、どっちの事ですか?」

鳴狐「……………」

長谷部「主、そうズケズケ言っては身も蓋も……」

青江「僕も気になるね。狐と言うからには、その襟巻きが鳴狐かい?」

長谷部「襟巻き……」

御手杵「じゃあ、人の方は何だ?」

和泉守「本体じゃねーのか?」

長谷部「もう、どっちでもいいじゃないかっ!!」



長谷部のこの言葉で、結果はうやむや
皆ハッキリさせたくて文句が飛び交う

しかし私は、名前もさることながら、もっと違う事が気になっていた



主「な、鳴狐。そ…その……狐?それを少し触らせてはくれませんか?」



フルフルと指先を震わせながら差し出した手
どうしても触ってみたくて、ダメ元でちょっと聞いてみた



鳴狐「主様がお望みとあらば……」



ヤリッ!聞いてみて良かった!!
独特の金切り声で了解してくれた鳴狐
驚いた事に、彼の肩から私の手へと移った狐は温かくて、この者が生き物だと知った


モフモフ……モフモフ……


ああ……幸せ
何と触り心地がいいんでしょう

私は、皆の注目を浴びている事も忘れ、ひたすらモフっていた
すると、遠くから見ていた五虎退が恐る恐る近付いて来る



五虎退「あ、主様……どうぞ……」



差し出されたのは、小さな子虎
それを、キラキラした瞳で「いいの?」と聞き、抱き締めてみる
片手に狐、片手に子虎………ああ、何てフカフカなの………昇天!!



長谷部「主?主?………取りあえず二階へ行きましょう。鳴狐、五虎退、付いて来なさい」



そう言って、夢見心地の私を連れて、二階へ上がる主御世話係
どうやら私の、表と裏の顔を理解したようで、皆のイメージをなるべく崩さないように配慮したらしい



五虎退「主様は、僕の虎クンに初めて興味を持ってくれた人です」

長谷部「主は女性だからな」

五虎退「女の人は、フワフワが好きなんですか?」

鳴狐(本体)「そうなのか?」



そんなやり取りも聞こえないくらい、モフモフに浸る私
客間作って良かった
(↑その使い方は、正解ではない)
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ