長編 夜香花(やこうか) 完結

□第四話 新しい仲間
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最近、本丸に来た骨喰藤四郎
彼は、過去の記憶が無い事を気にしている様子
鯰尾も炎に焼かれ記憶が無いらしいが、それを前向きに捉えてる
そんな正反対の彼等は、とても仲がよい


あまり考えた事は無かったが、過去の記憶に悩まされたりする者も居るのだろうか?
もしそうなら、この本丸での生活で少しでも癒されるといいのに……と思う


彼等にもそれぞれ歴史がある
刀剣についてあまり知識のない私
こんなんで大丈夫なのか?



長谷部「やっぱり冷蔵庫は欲しいですね」


私の部屋で、カタログを見ている長谷部
このシチュエーションで、しかもそのナリで『冷蔵庫』は、言葉が浮きまくってる


主「買ってもいいですよ」

長谷部「…………残念ながら先立つ物が」

主「お金ですか」


うちの本丸は、裕福ではない
相変わらず弱気な私は、出陣に対しても弱気で、なかなかレベルupしない


主「私は、電化製品に囲まれた生活よりも、こっちの方が好きですけどね」

長谷部「主がそう言われるなら……」


実は本丸とは、主の好みに変更出来る
ある所は、リアルと変わらない生活に
ある所は、主の部屋だけオタク使用に
と、様々らしい

何もしないくせに、便利グッズを入れない申し訳なさ
その後ろめたい気持ちを隠す為に、一度白々しくコホンと咳をして窓から庭を眺めた

そこから見える馬屋では、何やらギャーギャーと騒ぐ声が……


鯰尾「馬糞は嫌いなヤツに投げる〜」

骨喰「うわ、ふざけるな」


ふふ、楽しそう
危険な遊び道具はともかく、骨喰が元気そうで良かった


主「過去の記憶って………そんなに気になるものなんですかね?」


何の気なしに口にした言葉
それを聞いていた、長谷部の表情が突然曇った


長谷部「そうですね、人によりますが……骨喰のように、記憶を失ってる方が幸せな時もありますよね」

主「……………」


あまり聞かない方がいいのかな?と思った



その時、知識の無い私は知らなかったけど、長谷部は以前、何の縁も無い家臣に譲り渡された過去があるらしい

それって、主とお別れって事だよね?

主大好きな長谷部にとって、きっと何より辛かった事だと思う
失った方が幸せな過去って、その事かな?
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