長編 夜香花(やこうか) 完結

□第六話 一転
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今剣「あ〜る〜じ〜さ〜ま〜」


今剣は、私の部屋の前でこう呼びかける
それは、お友達のうちに遊びに来た子のようで、可愛らしくてつい笑ってしまう


主「クスクス、何か用ですか?」


部屋を出て、客間へ移動する
その間も今剣は、小さな手を私の手に絡めて、ペチャクチャとお喋りをしていた


今剣「きょう すごいひとを つれてかえってきました」

主「そうですか、後で会う事にしましょう。それより今剣、出陣はキツくはありませんか?」

今剣「はい だいじょうぶです!ぼくはつよいので ばびゅ〜んとてきを やっつけますから」


いつものように、私の膝にチョコンと座った今剣を、撫で撫でする
その間もお喋りさんな彼は、次々喋り続ける


今剣「ぼくのなかまは おおきいです。いちばんおおきい なぎなたです!」


薙刀か……これじゃ資源がいくらあっても足りないな
せめて今、鍛刀してるレシピで、強いのが来れば助かるのに

そう考えてた矢先、長谷部が慌てた様子で部屋に入って来る


長谷部「主、鍛刀部屋へおいで下さい!!」


急いで鍛刀部屋へ行った
そこでは、顕現して間もない刀剣男士が片膝を付き、今にも立ち上がろうとしていた


一期「一期一振です。貴女が主ですね。よろしくおたの申します」


パッと長谷部を見た
すると彼は深く頷き私を見る

一期一振
粟田口の兄弟達が待ちに待った、大好きな兄だ


主「挨拶は、これくらいにして、急いで!!貴方の弟達が待ってます」

一期「お気遣いありがとうございます。それでは御言葉に甘えて……」


春風のような人物だった
優しい声色に青空のような髪
物腰も柔らかで出で立ちが………そう


主「ロイヤル」

長谷部「ろいやる?」


ロイヤルちっく
メチャクチャ王子様っぽい彼
白馬手に入れたら絶対乗せてやると、密かに握り拳をにぎる


粟田口がどんなに喜ぶか見てみたくて、一期一振に付いて行く
一番最初に彼に気付いたのは、畑仕事してる乱だった


乱「いち兄………もしかして、いち兄?」

五虎退「本当だ、いち兄ぃ!」

秋田「みんなーっ、いち兄ですっ!!」


わあっと一瞬にして集まった弟達
一気に駆け寄ると一期一振に飛びついた


主「(ボソ)うわ……私なら今の受け止めきれなかっただろうな……絶対、一期一振痛かったはず」

長谷部「あ……主……」
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