長編 夜香花(やこうか) 完結
□第十話 闇
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注意:この章は、性的、暴力的なシーンを含みます。
読まなくても支障は無いので、苦手な方はスルーして下さい。
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長谷部「今日は、あちらへお知らせを見に行く日ですよね?」
主「ええ、私が居ない間、宜しくお願いしますよ長谷部」
長谷部「お任せ下さい」
現代服を着た私を見た長谷部
彼はいつもこの時、寂しそうな顔をする
主「行ってきます。すぐに戻りますね」
長谷部「行ってらっしゃい、お早いお帰りを……」
安心させる為に、ニコリと笑って見せる
去り際の長谷部の顔は、今にも泣きそうだった
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そして、自分の部屋へと着いた
相変わらずの散らかりっぷりに目を逸らし、用事を片付ける
どうやら、本丸とここは時間の流れが違うらしく、いつも戻って来ると、あまり日にちが経っていない事に気付く
「助かるなぁ、貯金少ししかないから家賃とか困る」
これから先、どうなって行くんだろうという、漠然とした不安に目を瞑り携帯を探す
すぐに見つかったソレを、操作していると玄関がガタガタと鳴った
元彼「よう、久し振り」
「?!」
私は酷く驚いた
もう存在すら忘れかけていたけど、一緒に住んでいたにもかかわらず、他に女が出来たとか言って、出て行った最低な男
「何しに来たの?それより合い鍵返してよっっ!!」
元彼「そんな冷てぇ事言うなよ」
そう言って距離を詰めて来た
咄嗟に避ける私
「出てってよっっ!!」
元彼「ああ、あの女の事怒ってんのか?あんなの遊びに決まってんじゃね〜か!俺には、お前しか居ねぇんだって……」
左腕を掴まれ引き寄せられる
抵抗してみたけど、びくともしない
「止めて、離してっっ」
元彼「何だよ、他に男でも出来たのか?」
一瞬、長谷部が過ぎった……
「そ、そんなんじゃない、もう別れたんだから早く出てってよ!!」
そう言った私の頬に、突然の衝撃が走った
バタリとフローリングに倒れ、殴られたんだと気付く
忘れてた…………コイツこういう男だった
元彼「テメエふざけんなよ」
「い……嫌っっ!!」
這いつくばって逃げる私の髪を引っ張った
痛さで抵抗出来ず、彼に近付いてしまう
その瞬間、無理やりキスされる
「んっ……やめ……」
体中に鳥肌が立って、思わずコイツの唇を噛んだ