長編 夜香花(やこうか) 完結

□第十二話 お見舞い
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十、十一話のあらすじ


あちらの世界にお知らせを見に行った主は、以前の彼に会ってしまい暴力を受ける
命からがら本丸に戻って来た主は、薬研から、ろっ骨骨折と左目を負傷と診断を受ける
長谷部の献身的な看病もあって徐々に回復


***************


怪我をして帰って来てから数週間
私の病状は、だいぶ良くなって、布団に座れるくらいには回復していた


薬研「そろそろ少しずつ歩いていいぞ、でもまだ骨はくっ付いてないから無理はするなよ」

主「ありがとう薬研」


診察を終えた薬研が長谷部を呼んだ
その声を待ってましたとばかりに入って来た彼は、何となく犬に見えてしまう


主「クスクス……あ、痛いっ……」

長谷部「主?なぜ笑っておられるのですか?」

薬研「今、犬っころみてーだったからじゃねーのか?じゃ、また来る」


そう言い残し、あっさりと去って行く薬研
それに対して長谷部は、ブツブツと文句を言っている


主「クスクス、薬研から歩いてもよいと許可が降りました」

長谷部「本当ですか?」

主「出来れば窓の外を見たいのですが、手を貸してくれませんか?」

長谷部「はい、喜んで!」


まだ痛む、ろっ骨を庇いながら立ち上がる
久し振りに歩くとふらふらして、殆ど長谷部が抱えてくれていた


長谷部「粟田口の兄弟が、貴女に美味しい野菜を食べさせると、張り切ってるんですよ」


すぐそこにある畑で頑張っている皆
私に気付い子達が手を振った
それに手を振り返すと、一瞬にして彼等の笑顔が消えた

何故なんだろうと考えて気付く、そうだ顔の包帯………


主「いけませんね………怖がらせてしまったようです」

長谷部「違います、彼等は心配しているのですよ。ほら、笑ってあげて下さい」


言われた通り微笑んでみる
すると粟田口の兄弟は、ピョンピョン飛び跳ねて両手を振ってくれた
本当だ、喜んでくれた
少し傷口が痛いけど、やってみて良かった


長谷部「そろそろ布団へ戻りましょう。あんまり無理すると回復が遅れますよ」


長谷部オカンモード発動
もう少し見たかったけど、心配かけるのも悪いから言う通りにした
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