長編 夜香花(やこうか) 完結

□第二十話 すれ違い
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〜長谷部目線〜


主と口付けをした夜の次の日、俺は自分の耳を疑った


主「小狐丸を呼んで」

長谷部「はい?また、ですか?」

主「いいから呼んで」

長谷部「………………」


これは………どう解釈したらいいのだろうか?
もしや、何かを試されてるのか?

モヤモヤしたまま、小狐丸殿に来て貰う
いつものように櫛で毛並みを整え、モフモフしていらっしゃる主

俺は、お茶を持って来ると言い残してその場を去った






燭台切「小狐丸が、また来てるのかい?」


厨で会った燭台切からそう言われて、ガッカリ落ち込む
それは俺が言いたい


燭台切「主は、僕達を家族だと思ってるからねぇ………」


そうなんだ………だからこそ言いづらい
小狐丸殿を部屋に呼ぶのをやめてくれと


燭台切「主は自覚が足りないよ。僕達だって男だから、彼女にいつ何をするか分からないのにね?」


そう言いながら、お茶を手渡してくれる燭台切
それを聞いた俺は、気が気じゃなくなり、慌てて主の部屋へと走った


長谷部「あ、主、入ります」


一応声を掛けて入った、そして驚く
小狐丸殿が主を下敷きにし、二人は横たわっていた
パッと見、小狐丸殿が主を押し倒したように見える


長谷部「な、何をしているのですっっ!!」

主「良かった、やっと来た長谷部。ちょっと手伝って」


完全に眠っている小狐丸殿
その大きな体を主の上から剥ぎ取ると、小さく丸まって再び眠りについた
その姿は、小狐と言うより大猫

小狐丸殿の下から解放された主は、深呼吸をする


主「苦しかった〜………途中で寝てしまった小狐丸に抱き付かれて、どうしようかと思いました………体格がいいからビクともしなくて困りました」


悪びれもせず、そう話す主
やっぱり彼女にとって皆は、家族であり異性ではないのだと感じる

では、俺の事は?
そして、さっきの姿を見せられた俺の気持ちは?
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