長編 輪菊(りんぎく) 完結
□第二話 主を説得
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長谷部「…………う」
主「どうしました長谷部さん、二日酔いですか?」
意地悪な顔して、わざと丁寧にそう言った主
昨晩、恋人に構って貰えなかった事を、どうやら根に持っている様子
長谷部「す……すみません……つい飲み過ぎてしまって」
主「ほぅ、主御世話係がその主を放っておいて、飲み過ぎたのですか……これは、お仕置きせねばなりませんねぇ……」
ふざけて上から見下ろす主
その視線が妙に色っぽく見えて、長谷部は少しドキドキしていた
(↑根っからのドM)
そして、ここに呼ばれた薬研
彼は主が要望した、二日酔いに効く薬湯を持って来てくれていた
薬研「作ってきてやったぞ、しかも、とびきり苦くしてやった(ニヤリ)」
やはり彼も上から見下ろす態度で、長谷部に言い放つ
薬研の場合、ふざけてるように見えないのが怖い
(↑天然系ドS)
長谷部「(クソ……)す……すまない」
反省してるのか、その苦〜い薬湯を頑張って飲もうとする長谷部
それを見届けるドS二人
薬研「ところで大将、あっちの世界に行く話だが……」
は?あの話は無しにしてくれたんじゃないの??
すっかりそう思っていた主は、長谷部を見た
彼は、気まずそうに薬湯をふぅふぅしながら、聞こえないふりをしている
主「まだ行くとは……」
薬研「こっちに無い西洋医学の本とか薬が欲しいんだ。俺っちを連れて行ってくれないか?」
医学書か………そういう事言われると断り辛い
今だに、怪我をして帰って来る刀剣男士達には慣れないし、怪我以外の病気にかかるのを見た事もある
この間だって食いしん坊の愛染が、何を食べたのか、腹痛を起こして苦しんでいた
彼等に効くかは分からないけど、向こうの薬で早く治る方法があるなら、それを取り入れる手はない
主「…………考えておきます」
薬研「おう、頼んだぞ、大将!」
そう言うと、一階へと帰って行った
チラリと長谷部を見る
気まずそうに、薬湯を飲んでいる長谷部
主「………苦いですか?」
長谷部「…………はい、それはもう」
主「………良かった」
長谷部「(涙)」
きっと昨晩、意気込んで大広間に戻った長谷部は、大方、次郎か誰かに飲まされて言いくるめられたんだろう
(↑当たり)
まったく、男って生き物は………
主「はぁ……」