長編 輪菊(りんぎく) 完結

□第八話 副作用
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愛染「現代遠征組、帰って来たぞ〜っ!!」


本丸に響き渡った愛染の声
それを合図に、それぞれ散らばっていた刀剣男士達がゾロゾロと集まって来る


加州「あ、鶴さんも帰って来た」

大和守「ズルいよ〜!!」

長谷部「主っ、主っっ!!!」


皆の中心に居る三人
鶴丸は、被っている帽子の歪みを直し、燭台切は意識の無い主を抱いていた


燭台切「こっちに着いた途端倒れたんだ……薬研居る?」

薬研「ああ、ここだ。部屋へ運んでやってくれ」

燭台切「了解」


アワアワと慌てる長谷部を連れて、主の自室へと移動する
残されたのは鶴丸一人


あちらでの騒ぎを知らない皆は、鶴丸を囲み大騒ぎする


愛染「鶴丸さん、すげー勇気あるなぁ!!」

堀川「飛び出して行った時は、驚きましたよ……」

和泉守「で?向こうの世界は、どんなだった?」



鶴丸「フ、フ、フ、聞きたいか?」


全員「聞きたい!!」



鶴丸「あっちの世界は、驚きで溢れていたぞ!!」





**************



ここは二階
外の騒がしい声が聞こえる中、薬研が主の身体を診ていた

その間、部屋の外に出された長谷部と燭台切
その場で、現代遠征の報告をする


燭台切「しかし鶴さんには困ったもんだねぇ。次から誰かに捕まえてて貰わないと……」

長谷部「俺はあれから、生きた心地がしなかった……本当に無事に帰って来て良かった」


二人は同時に「はぁ〜……」とため息を吐いた


燭台切「主が……」

長谷部「主が何だ?」

燭台切「主が泣いたんだ、僕の腕の中で……」

長谷部「それは聞き捨てならないな」

燭台切「彼女があんなに僕達を大切に思ってくれてた事、初めて実感したよ」

長谷部「…………そうか」

燭台切「凄く………嬉しかった」

長谷部「………………」


その時の事を思い出しているのか、優しい顔で微笑んだ燭台切
その表情を見て長谷部は不安を覚えた

その時


薬研「おい、入っていいぞ」


診察が終わったのか、室内から声がかかる
長谷部と燭台切は、襖を開けて入った
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