長編 輪菊(りんぎく) 完結

□第十三話 嫉妬
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次の現代遠征は、夏に合った要望を出していた厚に決めた!
でも、海か………


長谷部「主?……主、どうかしましたか?」

主「忘れてました、私、夏って嫌いなんだった………」

長谷部「は?」


あちらの世界でも、インドア派だった主
夏の海なんて、自分と種類の違う人間のモノだと思っていた


主「海は危険な事がたくさんあるので、誰かに同行して貰わなくては……」

長谷部「え?まさか、また二人連れて行くのですか?」

主「仕方ないじゃないですか……だって私一人じゃ海は無理です」

長谷部「……………」


心配そうに主を見つめる長谷部
主は、誰か適任は居ないかと、窓の外を眺めていた


景趣は、こちらも『夏』
麦わら帽子を被った平野と前田が、畑でエンドウ豆を取っているのが見えた
そのツルは高く高く育ってて、短刀達の手には負えない様子

すると、何か話しながら近付いて来た長曽袮虎徹
背伸びして豆を収穫していた二人を、ヒョイと抱き上げて両肩に乗せた


平野「わぁぁ、た、高い!」
前田「凄いです、長曽袮さん!」


大喜びする二人を揺すってみたり、落としそうな振りをしてみせたりする長曽袮
そんな冗談に、二人はキャアキャア!と喜んでいた


主「クスクス、長曽袮は短刀の面倒をみるのが上手ですね」

長谷部「は?そうですか?」


機嫌の悪そうな声を出した長谷部
その時、主が「はっ」っと息を飲んだ
そして、足早に部屋を横切り下へと降りて行く


主「長曽袮っっ!!」

長曽袮「何だ?」


肩に乗せた二人を地面に下ろすと、廊下で呼んでいる主に近付く長曽袮
そしてその、逞しい顔をフッと緩めた


長曽袮「どうしたんだ主?俺を呼ぶなど珍しいではないか」

主「長曽袮、長曽袮、貴方あちらの世界に行きたいとは、思いませんか?」

長曽袮「………まあ、行けるなら」

主「じゃ、決定ですっっ!!」

長谷部「はい?」
(↑ご機嫌斜め)



主「長曽袮虎徹、私と一緒に現代遠征に行きましょう!」



突然の誘いに、言葉を失う長曽袮虎徹
反対に、厚の面倒を見て貰える者を探し当てた嬉しさで、主の顔はキラキラと輝いていた


長曽袮「お……俺でいいのか?」

長谷部「勘違いするな、海に行くのに短刀の面倒を見るヤツが必要なだけだ」


ご機嫌斜めな長谷部の物言いに、主は一度厳しい目を向けた
主のその態度に、長谷部は完全にヘソを曲げてしまった
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