長編 鈴蘭(すずらん)New!
□第一話 こんのすけのお願い
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数日前、本丸に現れたこんのすけ
いつもの、しょうもない遣り取りを終えた後、突然お願いされる
こんのすけ「貴女様に、とある本丸へと赴いて欲しいのです」
その『とある本丸』には、主と同じように力のある女性の審神者が居ると言う
しかし上手く運営出来ていないらしく、それを何とかしてくれという内容だった
……が、主は聞いてすぐにその話を断った
今まで上層部と関わって、一度たりともいい事が起こった試しがない
主は、困っている様子のこんのすけを視界から外し、このままスルーしようと決め込んでいた
しかしその返答は、あっと言う間に覆る
ここのところ、とう本丸は、現代遠征やハイテク家電の導入で出費続き
そのせいで、財政的危機に陥っていると長谷部から聞いてしまった
こんのすけが「報酬は、たんまり……」と言った瞬間、コロリと態度を変えた主は、速攻引き受けたのだった
こんのすけに乗せられた感はあるが、仕方ないと言えば仕方ない………しかし、やはり気の重い主
果たして、その引き受けた仕事は上手く行くのか?
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今日は、よその本丸に行く当日
主の部屋に、刀剣男士達が数人、バタバタと騒がしい音をたてながら押し寄せた
次郎「おはよう主、ちょっと入るよっっ!!」
乱「やっぱり、いつもの着物だ………」
加州「来て良かった。じゃ、ちゃっちゃとやっちゃいますか?」
次郎・乱「おーっ!」
主「えっ?ちょ………ちょっとっっ!!」
出掛ける準備を済ませていた主
なのに、あっと言う間に身包み剥がされた
そして次郎によって化粧を施され、乱によって髪を結い上げ、加州によって着替えさせられる
加州「よ〜し、出来た!」
次郎「なかなかのモンじゃないのかい?」
乱「綺麗だよ、主!」
主「綺麗って……私、今から出掛けるんですけど……」
次郎・乱・加州「だからだよっっ!!」
三人の気迫に圧された主
しかし何を言ってるのか、サッパリ分からない
次郎「よそ様の本丸に行くのに、綺麗にしなくてどうすんのさっ?」
加州「あそこの本丸の主、可愛いって思われたいでしょ?」
乱「主は、ボク達の自慢の主なんだからねっ!!」
鏡の中を覗いてみた
確かに綺麗にして貰っている
主「遊びに行くんじゃないのに………」
巴「いや、主、これは必要な事だ」
今までの成り行きを黙って見ていた巴
主に近付いた彼は、少し歪んだ簪(かんざし)を優雅な手つきでキチンと直してくれた