長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第三話 宿題
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食事は結局、大半の者に警戒されて終わった
こんな事なら、全て歌仙に任せれば良かったと反省


主「食べる物が必要だな……内番ってどうなってるのかな?」


見る限り、畑があった感じがしない
他の当番も気になるので、近侍だという三日月の居る場所までやってきた


主「三日月……」

三日月「これは審神者殿」


ソファーに横になっていた三日月を、小さな声で起こす
内番着に滲んだ血が痛々しい


主「寝たままでいいですよ。具合はどうですか?」

三日月「具合?いつも通りだが」


いつも通り?
これがいつも通りというのか

重傷に近い中傷を負った三日月は、苦しそうに顔をしかめていた


うちの本丸に居るお爺ちゃんは、いつでもニコニコ皆を見守っている
ちょっと天然で可愛らしくて、彼の側は日だまりのように温かい

しかし出陣時には一転して、美しい衣を身にまとい、本丸に居る誰よりも神々しく凛々しい姿を見せる
それが主の知っている、天下五剣《三日月宗近》


それを思うと目の前に居る三日月が可哀想で、涙が出そうになる
今の彼は、夜空に浮かぶ三日月には程遠い


主「すみませんが、手入れはもう少し待ってて下さいね」

三日月「構わん……俺を手入れするには、資源をたくさん使わねばならぬからな」

主「…………………」


少し腹が立ってきた
新しい刀剣欲しさに資源を使いまくる、この本丸の主
今、自分に遣えてるこの者達を見て、何とも思わないのだろうか?


三日月「審神者殿………うちの主を、あまり悪く思わないでやってくれないか」

主「……………」

三日月「彼女は若い………未熟な所もあるが、あれでいて優しい所もあるのだ」


今のところ、彼女のいい所は一つも見当たらない
でも三日月の手前、話を合わせる


主「ええ、そうでしょうね………それより、この本丸の内番なのですが、どうなっていますか?」

三日月「……………………」


はぁ……とため息を吐いて黙ってしまった三日月
自分の主の印象が悪くなるから話したくないのか?


主「だいたい想像はついています。出陣ばかりして、内番をしていませんよね?出陣以外の当番も、出陣と同じくらい大切なのは分かりますよね?」
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