長編 鈴蘭(すずらん)New!
□第四話 初めてのお客様
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鈴蘭の本丸の話を皆に聞かせた
大広間に集まった刀剣男士達は、それぞれ暗い顔をしていた
太郎「それは酷い……」
日本号「怪我すりゃ俺達だって、痛いんだがなぁ」
その時突然、大和守が口を開いた
《痛い》と言うキーワードで何かを思い出したらしい
大和守「あ、そう言えばこの間、鶴さんの作った落とし穴に落ちて僕達ケガしたんだけどっっ!!」
加州「ホントやんなっちゃう、痛かったんだからね」
(↑一緒に落ちた)
鶴丸「ははは、アレに落ちたのか?アレは、ここ最近では一番の出来映えで……」
巴「おい、お前達、口を慎め!!今はそんな話をする時ではない」
自由に話せる空気の、この本丸
いつもの事なのだが、話が脱線して行く
それを真面目な巴が二人を叱った
主「巴、そんなに怒らないで……大和守、加州、ケガは大丈夫だったのですか?」
大和守「薬研が治してくれたから大丈夫だよ」
主「そうですか、良かった………後で鶴丸にはキツい罰を与えておきますね」
鶴丸「…………やめてくれ」
話が勝手に進み、いつの間にかペナルティーまで貰った鶴丸がうなだれる
主は自分の本丸の、このノリが好きだった
誰かが誰かに気兼ねする事なんか無い
皆、自由に発言出来て仲がいい
主「うちの本丸が美しい事、貴方達が健やかに過ごしてくれている事、全ては当たり前じゃないんだと思いました」
それもこれも、鈴蘭の本丸へ行かなければ気付かなかったかもしれない
日ごろから一生懸命、この本丸の為にと尽くしてくれる皆に、感謝の気持ちが溢れてくる
主「皆、ありがとう……」
三日月「では、俺達も主に礼を言わねばならぬな」
主「?」
突然、話に入ってきた三日月
今日の彼もニコニコと微笑み、ふんわり優しい空気を醸し出している
三日月「以前も言うたと思うが、この本丸の平和な空気は主が作っているのだ。礼を言うぞ、ありがとう」
それを切欠に、あちこちから声が上がった
鶯丸「ありがとう、主」
愛染「サンキューな、主さんよっ!」
石切丸「感謝しています」
主「み……みんな……」
うるうると瞳を潤ませる主
そんな主の涙に気付き、巴は彼女の背中を慰めるように優しく撫でた