長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第八話 彼等の気持ち
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内番の振り分けが出来たので、退室して貰っていた鈴蘭を呼んだ

彼女は、突然追い払われた事を怒っているのか、あからさまに主を無視した
それを予想していた主は、話を巴に任せて、ソファーに静かに座っている
鈴蘭の側には、先程までは居なかった三日月が控えていた


鈴蘭「内番って何か面倒くさぁ〜い」

巴「別に、貴女にしろとは言っていない。この内番表に添って、刀剣男士に命令すればよいだけだ」

鈴蘭「出来るかなぁ?」

巴「ああ、貴女なら出来る」


主に言われた通り、優しく丁寧に鈴蘭に対応する巴
それを見ながら主は、感心していた



嫌々ながらも、よくやってくれるなぁ……



今、目の前では、巴が鈴蘭の頭を撫で撫でしている
鈴蘭はそれに、大喜びしていた



彼等は主である私達の命令なら、必ず遂行するんだろうな
例えば、夜のお相手だろうと………



主の視線は、鈴蘭の後ろで控えている三日月に行っていた
先程、大典太から聞いた衝撃的事実
三日月は鈴蘭を、どんな思いで抱いたんだろうか

考えれば考える程、ため息しか出て来ない



三日月「………審神者殿」



ふと気付くと、三日月が自分を呼んでいた
ここの本丸の三日月は、儚く哀しげに微笑む


三日月「先程は、体調を崩されたと聞いたが大事無いか?」


自分を気遣ってくれる優しい三日月に、めいっぱいの笑顔で応える


主「はい、ご心配をお掛けして申し訳ありません。貴方こそ………」




大丈夫ですか?




うっかり聞きそうになり、ハッと息を飲んだ
いくら心配してても、こんな事聞いてはいけない
三日月だってきっと、何と答えていいか分からない

話を途中で止めた事に気付いたのは巴だけ
三日月と鈴蘭は、全く気付いた様子は無くてほっとする主


親しく会話を交わす主と三日月が、気に入らない様子の鈴蘭
彼女は今、これでもかってほど主を睨み、無言で攻撃している
そんな鈴蘭に、もう何度となく吐いたため息を、またひとつ吐いた


主「はぁ………ごめんなさい、少し席を外していいですか?」

巴「では、俺も一緒に……」

主「貴方は駄目です、仕事を続けて下さい…………すみませんが三日月、本丸内を案内してくれませんか?」


その言葉に、食って掛かろうとしていた鈴蘭
しかし三日月は、その彼女の肩に手を置き静かに制止する


三日月「あい、分かった……」
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