長編 鈴蘭(すずらん)New!
□第九話 急病
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鈴蘭の本丸で、実行された内番
キッチンでは、刀剣男士達が初めて作ったカレーの匂いが立ち込めていた
鈴蘭「ねぇ、いいでしょ?一緒にご飯食べようよぉ、巴!」
相変わらず主を無視する鈴蘭
少し困った様子の巴の事なんて、お構いなし
腕にベッタリと張り付き、甘えた声を出している
今更ぶりっこが、通用すると思ってるところが凄い……
(↑主、心の声)
ついつい「うぇ〜………」って感じの表情を見せてしまっている主
そんな彼女の肩を、ツンツンとつつく誰か
太鼓鐘「審神者様も、オレ達が初めて作ったカレー、食べてってくれよ!!」
おふっ……笑顔がキラキラで眩しい……
(↑再び心の声)
青と白のコントラストが爽やかな、太鼓鐘貞宗が主を誘う
その可愛さと来たら、鈴蘭の腹黒さを差し引いても有り余るくらい突き抜けている
そんな太鼓鐘を目の前に、主は頭をクラクラさせながら、思わず返事をしてしまっていた
主「よ……喜んで」
太鼓鐘「やったー!」
嬉しそうにニッコリ笑った太鼓鐘
それを見て、ほころんだ表情を見せる主に、巴が呆れたように両目を瞑る
巴「はぁ〜………」
そして準備された、食事
この本丸には、皆が集まる大広間は無い
なので、個々の部屋で食べた
近頃では、大勢の者が集まってする食事に慣れてきた主
そんな彼女にとっては、それはそれは寂しいものだった
主「はぁ……何か味が分かんない……ブツブツ……」
鈴蘭「わぁ〜!おいし〜!!ね、巴?」
巴「あ……ああ」
イチャイチャ、イチャイチャ、イチャイチャ………
食事してる間も、目の前で巴に甘え続ける鈴蘭
不愉快を通り越して、何だかイラついてきた主
三日月「うちの主(鈴蘭)が無理を言ったようだな、すまない」
主の様子が気になったのか、気を使って話し掛けてきてくれた三日月
もしや自分は、気付かないうちに大人気ない態度をとっていたか?と慌てて取り繕う主
主「いえ、こちらこそご馳走になってしまってすいません。ところで三日月、カレーは貴方の口に合いましたか?」
スプーンに少量づつ、ちびちびと食べていた三日月
さっきから主は、それが気になっていた
三日月「珍妙な味だが、美味いぞ。しかし………」
主「どうしました?」
三日月「ちと、辛い」
思わず笑ってしまった
三日月お爺ちゃんは、辛いのが苦手だって初めて知った
可愛い