長編 野花(のばな) 完結
□第二話 顔合わせ
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気がつくと硬い板の上に跪いていた
野花「……な……何?」
目の前には、白い……手?
その指先を顔に向けると、柔らかく少し湿り気を帯びた唇に触れた
野花「……私」
長谷部「お前はっ!!」
ふと顔を上げると、目を見開いた男性が此方を見ていた
長谷部「あ、あ、主に報告せねば……」
ぶつぶつと独り言を言いながら部屋を出て行くその男
彼が、再び主と呼ばれる女性を連れて帰って来るまで私は、自分の体を確認するように触っていた
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そして、ここは大広間
ズラリと並んだ食事を目の前に、何人もの男性が座っていた
主「さぁ、ここへ……」
主の横を指される
それに一瞬躊躇してしまう
三日月「今宵は、お前の歓迎の宴ゆえ遠慮する事は無い」
夜の闇に浮かぶ月のように、その美しい人はニッコリ微笑んでいた
渋々ながらも上座に座る
すると皆の視線が一気に集まった
居心地は、最悪だ
主「新しい仲間を紹介します。野花です。見ての通り女性です。皆さん色々と気にかけてやって下さいね」
秋田「……女の人」
愛染「本当だ女だ!!」
口々に言葉を交わし、ざわつく室内
次の瞬間、その間をタタタ…と下座から上座へと、此方へやって来る人物が居た
乱「やったぁ、女の子!!来てくれて嬉しい〜!!」
キラキラした瞳で私の両手を握りブンブン振るこの子……可愛い
乱「ボクは乱藤四郎だよ!!粟田口の兄弟の1人なの。貴女は……?」
野花「…………」
この場合名前を聞いているのだろうか?
しかしそれは、先程、主が言ってくれたはず……
何を求められてるのか分からず、口をつぐんでいると、私よりも真っ白な装束に身を包んだ男性が会話に割り込んで来た