長編 野花(のばな) 完結

□第五話 年輩組
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今日も本丸は平和だ
景趣は、春
日差しは、ぽかぽか


三日月「して、最近の野花を、どう思う?鶯丸よ」


ズズズ……とお茶を啜りながら、この世で最も美しいとされる刀剣、三日月宗近が聞いた


鶯丸「ここにも僕らにも、慣れて来たんじゃないのかい」


やはりズズズ……とお茶を啜る鶯丸


三日月「よきかな、よきかな」


そんな会話が繰り広げられてるとも知らず野花は、お盆を胸の高さに抱え二人の所へ、やって来た


野花「お二人共、宜しければお団子食べませんか?」

三日月「おお、それは気が利いておるな」

鶯丸「どうしたんだい?買って来たのかい?」

野花「いいえ、燭台切さんが作ってくれました」

三日月「光忠か、あ奴は何でも出来るな」

鶯丸「光忠の団子は、美味しい。君も一緒に食べるかい?」


「はい」と返事をし、一緒に頂く野花
その姿に年輩組が、目を細めて見ているなんて知りもしない


しばらくすると……


ぽかぽか陽気に、お腹いっぱいの野花は、うとうとと舟を漕ぎ始めた
三日月が、それに気付き鶯丸に「しーっ」と人差し指を立てる
鶯丸も心得てるとばかりに、ニッコリ笑って応えた


*************


ふわふわと気持ちがいい
縁側の猫になった夢を見ていて目が覚めた

パチパチ瞬きする視線の先には、蒼い布……
どっかで見た事あるなぁと思いながら野花は、倒した上半身を起き上がらせた


野花「ふわぁ〜…………って、え???」


目の前には、微笑む三日月様
慌ててキョロキョロと見回し、状況を把握する
私は、気持ちよさのあまり昼寝をしていたのだ、しかも三日月様の膝で


野花「す、す、す、すいませんっ!!」

三日月「よいよい、それにしても気持ちが良さそうであったな」

野花「私……何て失礼な事を」


ショックのあまり、うなだれる


鶯丸「なかなかいい物を見せて貰ったよ。皆に自慢しよう」

野花「止めて下さい鶯丸様、私ったら……お恥ずかしい」

ははは、と笑う年輩組
私的には、笑い事じゃありません
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