長編 野花(のばな) 完結
□第六話 出陣
1ページ/5ページ
長谷部「今日の演練メンバーを発表する……」
うちの本丸では、出陣以外の当番は表に書いて貼ってある
その内容は様々で、食事当番、掃除当番、馬当番、畑当番………と、まだまだある
演練と出陣だけは、こうやって長谷部様が発表される
ここに来て数日経つが、未だ名前を呼ばれた事がない私
主様は、私の事を忘れるのかな?と思い、今日もあまり聞いていなかった
すると
気付けば何故か注目を浴びていた
末席に座った私を、振り返り見てる皆さんと目が合う
野花「??あ……あの……何か???」
鶴丸「ハハ、聞いていなかったのか?出陣だよ出陣!!」
野花「…………へ?」
大和守「僕らと一緒に出陣だってさ」
なんですってぇぇぇぇ!?!?
すいません全く聞いてなかった
ここに来てまさかの出陣
私の反応に長谷部様の目が怖い
長谷部「主のご意向で、まずはあまり危険のない場所から行って貰う。詳しくは部隊の者達に聞くように!!」
野花「……はい」
ウソ……緊張して来た
それに気付いたのか、清光が私の頭に手を乗せて撫でる
加州「心配いらないよ。安定と俺も一緒だから」
大和守「準備があるから一緒に来て」
その言葉にコクコクと頷くと、二人の後に付いて刀装部屋なる場所へと向かった
大和守「ここはね、僕達の防御となる刀装ってのを作る場所なんだけど……それは得意なヤツに任せてとりあえず持って行っちゃおう」
手渡されたそれは、まん丸な玉
加州「今回は、さほど危険は無いから《並》だな」
和泉守「おお、野花やってるか?準備は怠るなよ」
そう言った彼、和泉守兼定も刀装なる玉を2二つ持つ
和泉守「長谷部にお前の事話したら、レベルアップさせろって命令が出てな」
野花「和泉守様が私の事を?」
和泉守「接近戦が得意なら、先々の屋内戦で使いたいそうだ」
加州、安定「屋内戦!?」
二人の顔色が急に変わった。
大和守「屋内戦ではね、この刀装はあんまり意味無いんだ……」
加州「恐ろしく早い槍が、刀装を通り越して本体を傷つけるんだけど……出来れば君をそんな所に行かせたくないな」
そう言うと皆押し黙ってしまった