長編 野花(のばな) 完結

□第十話 厄日
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食事当番が苦手な清光
「埋め合わせするから」と頼まれ仕方なく引き受る
今日は、馬当番だから、二つ掛け持ちしなきゃならない
なかなか忙しい


しかし全ての発端は、ここから始まっていた


野花「あの……今朝の焼き魚、焦がしてしまったのは私です……すいません」


ずらりと並んだ七輪、その上に乗った魚を裏返して行く作業は、至難の業
大人数の食事の準備は、毎回、戦さながらだった

そこへ現れた一匹の猫

魚を取られてなるものかと、追い回していた隙に焦げてしまった、今朝のおかず


太郎「元々こういう味だと思えば大したことありません」


ありがとうございます太郎様
でも何だか心が痛みます……


長谷部「これでは主には、食べさせられないな……」


お寝坊さんの主様には、後で何か別な物を用意させて貰います


朝食の間中、謝り続けた
ガックリ来た気持ちのまま、片付けをし、器を洗ってると、背後から誰かの気配を感じる


燭台切「そんなに落ち込まなくても大丈夫だよ……」


いつもこうやって、私をからかう燭台切さん
いきなり背後から耳元に囁かれて、驚いて思わず体をビクつかせてしまった
その直後、陶器の割れる音

ガチャン


野花「……あ」
燭台切「……あ」


手を滑らせ落として割ってしまったのは、三日月様の湯飲みだった



と、いう経緯で、三日月様の元へ向かう
彼の大好きな、日向ぼっこの時間には、まだ早い
そう思い、お部屋へ行ってみると三日月様が居た


野花「…………すいませんでした」

三日月「よいよい」


機嫌良く、許してくれた三日月様
お詫びに何か、お手伝いをしますと言う私に、舞を披露してくれと頼まれた

仕方なく舞っていると、その事を聞きつけた人達が次第に集まり、なかなか抜けられなくなってしまう


野花「(ゼイ……ゼイ……既に疲れた……)」


今日の内番は、馬当番だったっけ
実は、今朝からの何やかんやで、少し遅くなっていた


野花「鯰尾君〜遅くなってごめ〜ん!!」


ビタッ!!


鯰尾「……あ」
野花「………」
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