長編 輪菊(りんぎく) 完結

□第九話 体力作り
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薬研「大将、俺っちからも提案があるんだが」

主「何ですか?」

薬研「大将も一緒に、体を鍛えたらどうだ?」

主「え?!!」


ブハッと笑った鶴丸を、ひと睨みする主
薬研のとんでもない発言に、今度は、主が引いている


主「な、な、何の為にですか?」

薬研「現代遠征から帰って来て、毎回倒れるだろう?あれは、体力不足なんじゃないかと思ってな」

主「そ……そんな……」


とんだ藪から蛇だ
自由過ぎる鶴丸を懲らしめてやろうと思っていたのに、いつの間にか自分に話が飛び火した


長谷部「それは良い提案かと思いますよ、主。毎日、部屋に引きこもってばかりでは、体を壊します」

鶴丸「それじゃあ俺と一緒に……」

長谷部「それは無理だ、むしろ体を壊す。始めは、どこか遠くへ散歩に出てはいかがですか?」


ショックを隠せない主
それを見て、笑いを堪える鶴丸


薬研「毎日少しづつでいいんだ。明日は、俺と一緒に行こう。話もあるからな」



いきなり決定なの?
拒否権はないのか?
私、主だよ?
この本丸を仕切る、凄い審神者なんだよ?
(↑自分で言っちゃった)



ガックリうなだれる主
運動が苦手な彼女は、散歩すら億劫なのだ



何も言えないでいる主の周りに、食事を終えた短刀達が集まって来た
彼等は口々に、いつ自分が非番かを話し合っている
どうやら皆、主とお散歩に行きたいらしく、楽しそうな様子


主「はぁ………仕方ありません。確かに体力が無くては、あちらの世界でも不便ですし」

今剣「やった〜!あるじさま どこまで いきますか?」

信濃「楽しみだなぁ〜」


短刀達とお散歩……そう考えると、楽しくなってきた主
それから暫く、どこまでなら行けるのか話し合い、非番の者が付き添うというルールまで出来上がった


長谷部「楽しそうで良かったですね。俺は、お散歩の時は遠慮しますよ。皆、主と行くのを楽しみにしてるようなので……」

主「え……行かないのですか?」

長谷部「たまには皆に譲らねば、独り占めしてると言われますからね」

主「クスクス、分かりました」


こうして、主の体力作りが始まった
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