長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第一話 こんのすけのお願い
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巴「貴女は、選ばれた審神者だ」

主「いや、そんな事は……」

巴「俺達の自慢の貴女が、他の本丸で舐められてはいけない。美しく着飾る事は、ある意味戦闘着かと思うぞ」

主「戦闘……」


いまいちピンと来ない主
しかし、満足気な彼等の顔を見ていると、これ以上何も言えない

そんな中、突然現れたアイツ


ポンッ


こんのすけ「本日は、同行するために参りました!早速ですが、お供を一人連れて行けますが、どなたになさいますか?」


主「(普通に現れやがった……何か拍子抜けするな)ああ、そ……そうですか、では長谷部を……」
巴「主、今は俺が近侍だ!俺を連れて行って貰おう」


主「…………ですよね」


巴「しかも俺を側に置けば、貴女をより引き立たせる事が出来るぞ」



次郎・乱・加州「(うん、うん)」



コクコクと、頷いた三人


ちょっと待って、何かおかしくない??
今のだと、長谷部が地味だって言われた気がする……


不満げな顔をしているのは、恋人を悪く言われた気がしてる主だけだった
残りの者は、納得の顔をしている

それもそのはず、今のところ巴の居る本丸は多くはない
しかも、典礼用に用いられていただけあって見た目が華やか
連れて歩けば、少なからず自慢ではある

しかし、それは世間様の話
人付き合いにあまり興味の無い主にとっては、かなりどうでもよい事だった



こんのすけ「御準備は整いましたか?それでは、表に迎えを寄越しましたのでどうぞ……」

主「迎え……ですか……」


今までに経験した事が無いくらいのVIP待遇
それが尚更、主の不信感を仰ぐ

そこへ現れた長谷部
着飾った主を見て、一瞬目を丸くした


長谷部「た……確か……他の本丸の調査に行かれる予定でしたよね?」

主「今から行ってきます。留守を頼みますよ」

長谷部「そのように着飾って……」

主「…………言いたい事は分かります」


何だか張り切ってる人みたいで、恥ずかしい主
しかし長谷部は違う事を考えていた


長谷部「巴、お前も行くのか?」

巴「ああ、そうだが」

長谷部「お願いだ、主を必ず守ってくれっっ!!」

巴「……………」


その言葉を聞いて、驚いた巴
まさか、長谷部が自分に頭を下げてお願いしてくるなんて、思ってもみなかった


巴「当たり前の事だ。何があっても、守るのが俺の仕事だ」


美しく着飾った主を前に、長谷部には色々心配事があった
しかし今は、敢えて口には出さず奥歯を噛んでグッとこらえた
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