長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第二話 とある本丸
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主「巴、重傷者の様子を診ていて下さい」

巴「分かった」

主「鈴蘭さん、貴女に大切なお話しがあります」

鈴蘭「………………」


話があると聞いて、自分の部屋へと連れて来た鈴蘭
その部屋は、女の子らしく可愛らしいものだった


主「まずは謝ります。貴女の本丸なのに勝手な事して、すいませんでした」

鈴蘭「………………」


何か言われる事を警戒して、不機嫌な様子の鈴蘭
しかし主は、頑張って話し掛ける


主「何故、彼等を手入れしてあげなかったのですか?」


チラッと主を見たかと思ったら、大きなため息を吐いて大袈裟にソファーにドサリと座った鈴蘭
最初の印象とだいぶ違う彼女に少し驚く


鈴蘭「あ〜も〜煩いなぁ………私の本丸なんだから好きにさせてよ」

主「好きにって………彼等だって傷付けば痛い、それが分からないのですか?短刀なら少ない資源で手入れ出来たはず」

鈴蘭「そんな事、どーでもいー!何回もドロップ出来る短刀なんて、使えないし折れても代わりはいくらでも居るでしょっっ?!!」

主「っっ!」



どうりで………



さっき皆を出陣させた時、何故だか審神者レベルに対して全体のレベルが低いと思った主
この本丸では、レア以外は使い捨てなのだろう


主「知っていますか?彼等にも自我があって、私達と同じように生きてます。是非にも彼等に触れてみて下さい。温かな血が通っていて………」
鈴蘭「煩いなっ、触った事くらいあるからっっ!」

主「………………」


駄目だ、今は何を言っても聞く耳を持ってくれそうもない
そう思った



主は諦めて、違う方法を考えてみる事にした
本丸の長を変えるのではなく、刀剣男士達に先に変わって貰うのはどうか?
真っ直ぐで純粋な彼等
もしかしたら、男士達が彼女を変えてくれるかもしれない

あれこれと、考えを巡らせていた
これは、思っていた以上に大変な仕事かもしれないと、今更ながらに引き受けた事を後悔する


失礼にならないように、鈴蘭に隠れてため息を吐いていた丁度その時、部屋の外から巴の声が聞こえてきた


巴「主、第一陣が帰って来たぞ」

主「ありがとう巴、今行きます」


そう言って部屋を出ようとした時、主は自分の目を疑った
今まで一度も見た事の無い、パァ……っと明るく上機嫌な鈴蘭が目に入ったからだ
彼女は急いでドアを開けると、長身の巴を見上げた
そして可愛く、ニコリと微笑む


鈴蘭「巴ぇ、一緒に行こぅ!」


白くて長い腕を彼に絡め、廊下を歩く鈴蘭
もしかして………もしかしてだけど………



主「面倒くさいタイプじゃね?」
(↑物凄く酷い表情)


嫌な事に気付いてしまい、また大きなため息を吐く
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