長編 鈴蘭(すずらん)New!
□第三話 宿題
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三日月「………………」
それ以後黙ってしまった三日月
彼を責めても仕方ない
何かいい方法は無いかと考えていた矢先、ドアがガチャリと開いた
入って来たのは、鈴蘭
鈴蘭「ちょっとオバサン、人んちの三日月にチョッカイ出さないでよっっ!!」
主「オバ……私は、貴女とそれほど歳は離れていませんっっ!!」
鈴蘭「へぇ〜、そうなんだぁ。見た目と喋りで、私よりずーーーっと年上だと思ってたぁ」
主「なっっ……」
売り言葉に買い言葉
ヒートアップした主の耳に「フッ……」っと鼻で笑う音がした
それは、鈴蘭がまとわりついて離れない巴だった
鈴蘭「あはは、巴が笑ってるぅ!ね、貴方もオバサンって思ってたんでしょ?」
勝ち誇ったような鈴蘭
しかし巴は、冷たい目で彼女を見下ろすと、絡んだ腕を乱暴に振り解いた
そしてフワリと青い羽根を舞わせながら優雅な仕草で主に近付き、優しい目で見つめる
巴「我が主の、大人の色気が分からぬなど………子供だな。思わず笑ったのは、見た事の無い彼女が可愛らしかったからだ」
主「っっ!!」
主の顔が火を噴く
きっと自分を助けてくれたんだと分かっているのに、体がカッカと熱くなる
そんな主を巴は、容赦なく攻めた
片手で優しく頬に触れ、持ち上げた主の白い手の甲に口付けする
鈴蘭から見れば、それはそれは美しい光景だった
三日月「ははは、それくらいにしてやってくれるか………うっ」
痛そうな様子で、ソファーから起き上がった三日月
鈴蘭は、すぐに三日月に近付いた
鈴蘭「だ、大丈夫なの?」
三日月「ああ、大丈夫だ」
主「………………」
三日月「主(鈴蘭)、この者達は、ここへ仕事をしに参ったのだ。主(鈴蘭)の思っているような事には決してならんから安心するがよい」
鈴蘭「三日月………」
急に大人しくなった鈴蘭
主はそれを見て、二人に気付かれないように巴と廊下へ出た
巴「どうした、何か用か主?」
主「彼女、三日月の体を心配してました。彼は鈴蘭さんにとって特別なのかしら?」
巴「ああ、確かに……」
主「三日月や貴方……つまり、お気に入りの話なら聞くのかもしれませんね」
呆れた顔をした巴
しかしティーンの考えなんて、そんなもんだ