長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第三話 宿題
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主「試しにこれを、貴方から言ってみて下さい」

巴「はい?一体何をさせようというだ
………俺は彼女は、あまり得意ではないが」

主「クスクス、頑張って」



巴は渋々ながらも、さっきの部屋へ戻った
意外にも鈴蘭は、横たわる三日月の側で、心配そうに彼の様子を窺っていた


巴「鈴蘭様、俺達はそろそろ戻らねばならぬのだが…………貴女にやって貰いたい事がある」

鈴蘭「やって貰いたい事ぉ?」

巴「はい……次に俺達が来るまでに、全員の手入れを済ませていて欲しいのだ。出来るか?」


鈴蘭は、一瞬考えた
自分があの女に騙されてないか?
次に何を要求されるのか?
沢山の事が頭を過る

しかし、視線を目の前に向けて冷静になった
自分は三日月を助けたいと思っている


鈴蘭「分かった………でも手入れしないでいい要らない子は、刀解するから」

巴「……………貴女の本丸だ。好きにしろ」


鈴蘭の言葉に一瞬動揺してしまった
自分の主なら、そんな事しないと考えていた
しかし、ここは他人の本丸………

気を取り直した巴は、主に言われた通りに鈴蘭に近付いた
そして、その大きな体を折り曲げ目線を合わせる
そしてフワリと片手を頭に乗せ、いい子いい子してあげた


巴「きっと貴女なら出来る……」

鈴蘭「っっ!!」


ホワンと赤くなった鈴蘭
それを確認すると、巴は立ち上がった


巴「では、帰る。見送りは結構」


鈴蘭の熱い視線を背に、部屋を出た巴
ドアの側で盗み聞きしていた主と、バッタリ目が合う


主「上出来です!」

巴「………はぁ」



***************



二人は再び、来た道を帰った
こんのすけが用意してくれた『輿』は無く、仕方なく主も馬に乗る


巴「まさかあんな真似、させられるとは思ってもなかった。いったい俺を、どうするつもりなのだ?」

主「え、どうするって、利用するに決まってるじゃないですか?何か問題でも?」

巴「大アリだ。しかも普通、そんなに簡単に『利用する』なんて言うものなのか?」

主「彼女は貴方を気に入っています。まあ、次も頑張って下さい」

巴「他人事だな………」

主「貴方なら出来ます。ふふ、ついでにいい子いい子してあげましょうか?」

巴「…………おちょくるな」

主「クスクス」
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