長編 鈴蘭(すずらん)New!

□第四話 初めてのお客様
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それを見て長谷部は、バタバタしていた

ヤキモチを妬き、バッと立ち上がろうとした所を、突然グイッと引っ張られたのだ
隣に座っていた次郎が、その長谷部を無理やり座らせ、巨体で押さえ込んでいる


次郎「こんなトコで何もしやしないよ。黙って座ってな」

長谷部「ぐ、苦しい、離せっっ!!」

次郎「どうせ夜には会えんだろ?それまで大人しく待ちなよ」


なぜ夜の事を知っている?と焦った
力の強い次郎に勝てる訳も無く、大人しくなった長谷部
それを見た脇差や短刀達がクスクス笑っている


主「ありがとう巴、もう大丈夫です………グズッ。鈴蘭さんにも、仲の良いうちの男士達の姿を見せてあげたいです」


自分の行動次第で、絶対的な味方になってくれる刀剣男士達
それを分かって欲しい、もっと大切にして欲しいと思って言った言葉

それを聞いていた御手杵は、いつもの調子で頬をポリポリ掻いていた
そして、ボンヤリとした調子でボソボソと呟く



御手杵「なぁ、主。その鈴蘭って審神者、こっちに連れて来たらどうた?」



全員「・・・・・」




一瞬にして、シーンと静まり返った大広間
その空気に御手杵は、「またやっちまったか?」と冷や汗をかいていた
しかし、大広間が急にうるさくなる


岩融「ガハハハ、御手杵は『たまに』だがいい事を言う!」

和泉守「そうだ、その審神者に俺達の本丸を見せてやろうぜ!」

御手杵「……俺そんなに普段しょーもない事ばっか言ってるか?」

今剣「おてぎねさん ないす あいであです!」


主はポカンとしていた
確かにそうだ、何で気がつかなかったんだろう

『力のある審神者だ』と、こんのすけが言っていた
自分があちらに行けるという事は、彼女もこちらに来れるって事だ


主「提案してくれてありがとう御手杵。鈴蘭さんに話してみます」

御手杵「お、おう、そうか」


何だか照れくさそうな御手杵
その彼を、近くの仲間がバシバシと叩きながら誉めている
その手荒さに、痛がる御手杵が反撃
ジャレ合いが始まってしまった




巴「主、俺は賛成しかねるぞ」

主「何故?」

巴「鈴蘭……あの審神者を、好きになれない」

主「こらこら、ああ見えても上層部が認めた力のある審神者なのですよ。失礼な事言わないの」

巴「はぁ………主の命令とあらば、仕方が無いが………」



不満そうにため息を漏らす巴
その巴の予想通り、鈴蘭は厄介事の種だった
主はその事に、だいぶ後になって気付く事になる
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