長編 鈴蘭(すずらん)New!
□第七話 刀解された者達
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主「いえ、うちの本丸には貴方は居ないのです。蜂須賀と長曽祢に言ったら、どんなに羨ましがるかと思いまして………」
浦島「アンタんちには、蜂須賀兄ちゃん居るのか?」
主「え?此方には居ないのですか……あ……」
忘れていた
ここは鈴蘭の本丸
鈴蘭はレアな刀剣しか残さない主義だった
浦島「ウチには、長曽祢兄ちゃんしか居ないんだ。いいな〜、早く蜂須賀兄ちゃんにも会いたいな〜」
主「………………」
きっと何度も蜂須賀は来ているはず
しかし浦島は、すぐに刀解されている事を知らない様子
何度見ても、兄弟が兄弟を待ちわびている姿は切ない
巴「話の途中すまない。こちらの主に、来客のむねを伝えてくれるか?」
主の悲しそうな様子に気付き、話を無理やり中断させた巴
そう言われて浦島は、ハッと気付いた
客を玄関先で待たせてた事を、すまないと思ったのか?慌てて中へ案内してくれる
そしてバタバタと足音を立てて、自分の主である鈴蘭を呼びに行った
鈴蘭「わぁ、久しぶり〜巴!」
主「……………」
出た、鈴蘭
しかも、巴だけに挨拶かよっっ!!
(↑主の心の声)
相変わらず主を無視する鈴蘭
主も、いい加減慣れればいいものを、何でかイラついてしまう
主「お久しぶりです鈴蘭さん。早速ですが、前回した約束は出来ていますか?」
(↑頑張って話し掛けた)
前回の約束
それは、主達が来るまでに全ての刀剣男士の手入れを済ませておくという事だ
鈴蘭「うん、出来てるよ。だから褒めて〜巴」
主「………………」
(↑笑顔が引きつる)
聞いてんのは、私だっつーのっっ!!
巴の手を取り、体を左右に揺らして甘える鈴蘭
巴が若干、引いている……
主「では、今日は刀剣男士達の内番の振り分けをして、早速、作業をして貰います……って、聞いてますか?」
仕事の話をしている主
にもかかわらず、今だに巴にイチャイチャ甘え続けている鈴蘭
イライラした主は、巴に目配せする
それを受けた巴は、大きなため息を吐くと諦めたように両目を瞑った
巴「鈴蘭殿、今日は刀剣男士達の内番の振り分けをするぞ」
鈴蘭「いいよぉ、何すればいい?」
主「………………」
ってオイッ、聞こえてんじゃねーかっっ!!
完全に無視された主は、ここを巴に任せる事にした
そして自分は様子見も兼ねて、本丸内を散策する事にする
それを聞いた巴は、主を引き止めた
しかし鈴蘭の目は「邪魔だから早く消えろ」と言ってる気がして、ムカついた主は大きな音を立ててドアから出て行った