南波刑務所最強姉妹!!

□序章
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南波刑務所:外の大広場



 一月一日。それは大晦日の日である。その大晦日に、ここ、南波刑務所では、あるビックイベントが開催されていた。

 その名も、《新年大会》。

各舎房の看守と囚人がこの日だけは協力して種目を勝ち抜くという簡単なもの。勝てばお年玉が貰えるということで、皆必死になるこの大会。
そして今、各舎房の代表が発表され、第一種目に突入していた。

 大広場の上から、それらを見下ろす影が二つ。


「ん〜。今年も始まったね〜!新年大会!」


 鈴のように凛とした、明るく軽快な声が風と共に響く。背中まである艶やかな黒髪を二つに分けて結い、風が吹くたびにパタパタと靡いた。
白の小袖に黒の袴を着た巫女服に、腰には分厚い看守服の上着を巻き、それも風で煽られて髪と共にパタパタと揺れる。煽られる看守服の合間からチラリと覗く、鞘におさめられた太刀。
宝石のようにキラキラと輝く、大きな翠玉の瞳が特徴的なその少女は、大広場を見下ろしながらそう口にした。


「ええ。そうですわね。 もっとも今回はハジメちゃんも出ているから、楽しめそうですわぁ♪フフフフ」


 碧玉の瞳を持つ少女の隣に、心底楽しげに言葉を発して返事を返す、その少女よりも年上の女性。
腰まである黒髪は、毛先の方でくるくると艶やかに縦巻いており、風と共にひらひらと目を奪われるほど美しく棚引いていた。
こちらの服は小袖も袴も黒で統一されており、肌以外で唯一黒ではないのは、肩に引っかけてある看守服の上着。それはよく見れば少女と同じデザインのものだ。
ルビーのような真紅の瞳はにこやかに細められ、バラッと開いた鉄扇が女性の口元を隠している。雰囲気は正に愉快という表情だ。

 碧玉の少女はアハハ、と苦笑を浮かべる。


「うっわ。 姉貴の考えてることがもろにわかるよ。どうせまた録でもない幻覚見せる気でしょ?」

「あら失礼な。 私はただ、ハジメちゃんにいつまでも仕事ができない幻覚を見せるだけでしてよ?」

「だからそれ、ハジメにとってめっっっちゃ悪夢じゃん。
あーあ、それにしても、私もあばれたいなぁ〜。ハジメちゃんや5舎の子達とたーたーかーいーたーいー!!」

「ふぅむ……じゃあ、モモちゃんに頼んでみましょうか♪」

「え!? マジで??」

「ええ。
――第0舎房看守部長 遊戯 想花と、私の妹であり、副看守部長 鞠火の『お願い』を、無下に扱うモモちゃんではありませんもの♪」


 想花はクスリと笑う。想花の手には1つのアルバムが握られており、それを見た鞠火は内容を全て悟り、これから起きるであろう事に肩を竦めたのだった。










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